※2人は同じ学校の設定
俺に毒でも盛ってみろいつもどうりの学校。
調度昼休みになった所だ。
食べ終わった弁当を片付けて、暇だから隣のクラスにでも遊びに行こうと席を立ったその時。
「立向居くん、ちょっといい?」
深海の様な深い青の髪に赤眼鏡をかけた同じクラスの女子、音無さんが声をかけてきた。
実は、音無さんは俺の想い人。
入学式で初めて会った時に一目惚れをして以来ずっと好きで、日々告白のチャンスを待っていた。
そんな俺にとって音無さんが声をかけてきてくれたと言うのは、嬉しい以外の何物でもなく。
「ど、どうしたの音無さん?」
「あのね、私理科係で昼休み中に教材を理科室に運ばなきゃなんないんだけど、同じ理科係の子が今日休みなの。」
「あ、うん。それで?」
「それでね。1人で運ぶのはキツいから…
立向居くん、よかったら運ぶの手伝ってくれる?」
…俺は一瞬、頭がフリーズした。
それでも自分の頭を懸命に回転させる。
そして導き出された答えは、
音無さんが俺を、頼ってくれていると言う事。
「立向居くん?」
「えっ!?あっ、」
音無さんに名前を呼ばれて俺の口からはすっとんきょうな声が漏れた、恥ずかしい。
とにかく、俺は今音無さんに頼られてるんだ。返事なんて決まってる。
「…理科室、行こうか。」
理科室は最上階にあって、重たい教材を持ちながら階段を上るのは結構疲れる。
でも俺はサッカー部に所属している。
運動部だから体力もそれなりにあるし、まだ平気な方だけど…心配なのは音無さんの方だ。
「音無さん、大丈夫?」
「大丈夫大丈夫!よいしょっ」
音無さんはサッカー部のマネージャーだから、荷物を運んでいる所なんかをよく目にする。
だから重い物を運ぶのにも慣れてるのかもしれない。
と、そうこうしているうちに理科室についた。
鍵は開いてるし電気もついてるのになぜか先生が居ない。
まったく、こっちは苦労して教材運んできたってのにどっか行ってるなんて。
そんな事を思いながら靴を脱ぎ捨てて、理科室に入った。
「ここでいいかな?」
そう言いながら音無さんは机に教材を置く。
俺も持ってる分をその隣に置いた。
「ありがとう立向居くん!おかげで助かったよ。」
「ううん、こんな重い物を女の子1人で運ぶなんて大変だしね。」
さて、用もすんだ事だし帰ろう。
だって理科室にはもう居る意味が無いんだから。
…でも、音無さんは動こうとしない。
「音無さん?」
あれ、どうしたんだ。
早く教室に帰ればいいのに、理科室の机の前で突っ立って。
いや、音無さんと2人っきりというこの状況は俺的にはかなり嬉しいんだけども。
「…立向居くん、私、ずっと言いたかった事があるの。」
「言いたかった事?」
なんだろう、まったく検討もつかない。
音無さんが俺に?
部活の事か何かかな。
「わ、私ね、その…
ずっとずっと前から立向居くんの事が…っ」
え、ちょっと待て。
2人っきりの理科室、顔を少し赤らめた音無さん。
これって、その、所謂、
告白的なシチュエーションじゃないのか?
「すっ…好きだったのっ!」
ど、ドンピシャだぜ……
え、っていうかちょっと待て、待ってくれ。
つまりこれは、音無さんが、俺に、告白したと言う事?
絶対告白してみせるとずっと思ってた、家に何通もある没ラブレターの宛先の、音無さんから告白された?
「あっ、えっと、そのっ…ごめんねいきなり!今日はありがと、じゃあねっ」
そう言ってあわただしく理科室を出ていこうとする音無さん。
でも逃がすわけにはいかない。
俺は音無さんの腕を掴んで引き止めた。
「た、立向居くん!?あ、返事はべつにいつでもいいから…」
「いや、今返事するよ。」
「!!」
ゴクリ、と音無さんが生唾を飲み込む音が聞こえた。
そんなに緊張しなくていいのに。
だって、俺の答えなんてもう既に決まってるじゃないか。
「俺も好きだよ、春奈。」
俺に毒でも盛ってみろ幸せすぎて絶対死なない