楽しいドライブだろ

Side:☆☆☆



「ストライカーに乗せて欲しいって?」
「うん、エースの能力で動くことは分かったんだけど、どんな乗り心地なのかなって思って」


模造品の参考までに。

先日、エースのストライカーを直して欲しいと頼まれて、その構造や作りに非常に興味を持った。
エースの能力で動いている以上、同じものを作っても他の誰も乗れないのは事実なんだけど。
動力部分を、機械で補えば誰でも乗れる手頃な乗り物にもなり得るかもしれない。
その為には、あんなに小さくて細い船体でバランスの悪い物に、実際どうやって乗っているのかが知りたくなったんだ。
だからここは素直に、お願いしてみた。


「ああ、いいぜ。ちょっと待ってろ」


エースは嬉しそうに、ストライカーがしまってある倉庫へと足を向けた。
今日は晴天で、海も穏やかだ。
私はともかく、エースは能力者で、海の落ちるワケにはいかない。
だからこの広い海でどこに居ても困らないような、何か転覆しない為の工夫がされているのかもしれないと、その秘密が知りたかった。


「よし、行こうぜ。今日は気持ちいいぞ!」


もう少し下方へと移動して海へ降りるものとばかり思っていた。
前に甲板からストライカーを投げ出した時に、マルコさんを含む隊長さん達を巻き込んで、散々お説教をしたから。
なのに、まだあれから、幾日も経過していないというのに、エースはまたストライカーを甲板の外へ放った。


「エース!また………わ、ちょ…きゃああああ!」


ギリギリ、女の子らしい悲鳴が出た。
もうちょっと唐突だったら、もっと野太い叫び声になっていたと思う。
ストライカーをぶん投げたエースに注意しようとした矢先、腹部をエースに抱えられて共に甲板を飛び出した私の身体。
モビーの高さはけっこうあって、落下の感覚が生命の危機を刺激してくる。
途中からは声も出ない程の、恐怖だった。
海に落ちる…と不安になったけど、そんなマヌケな事態に陥るワケがない。
相手はあのエースなんだ。
海にきちんと浮かぶストライカーの上に寸分違わず降り立つと、小舟が小さく揺れた。
軽く足を開いてバランスを取るエースに、一度ストライカーに下ろされる。
自分の足でそこに立つと、僅かに動いただけでも船は揺れて横に傾いてしまうようだった。
そのまま私も海へと滑るように落ちそうになる。


「おい、真ん中に立てよ」


そう言われましても!
エース程、運動神経がいいわけでもない。
体幹だってそんなに鍛えているわけでもない。
普通の、船大工だよ。
エースに支えられていないと立ってすらいられない。
私の両手もエースの肩から外せない。
これは…乗せてもらう以前の問題だった。
エースが一人で乗ることによって成立する乗り物なんだろう。
素人が、欲を出してすみませんでした。
これは正直に、謝って甲板に戻して貰おう。


「エース、ありがとね。身の程を知ったよ…甲板に…」
「☆☆☆、こっち向いてても面白くねェだろ?進行方向に向かえよ」


エースの肩に捕まっていた手を突如外された。
これは海に落ちてしまう!と覚悟を決めたけど、がっちりと支えてくれているエースの片腕によって私は守られていた。
そのままくるりと身体を反転させられる。
掴まるものが何もない不安に、暴れかけたけど、前見ろって!ってエースに大きな声で言われてはっと気が付いた。
顔を正面に向けると目の前に広がるのは、開けた海。
穏やかな波と、蒼い空、白い雲。
他には何にもない。
他は何も映らない美しい世界だった。


「うわー綺麗!」
「だろ?何もないこの海に、おれが道を付けて進むんだ、最高だぜ」
「…ロマンだね」
「ああ、いいこと言うな、お前!」


ロマンだ、って復唱をしたエースの足元から、火が出てきた。
私は、ストライカーのエースの火を受け止める為の金属部分を避けて、木の部分に立たせて貰っているけど、さすがに一人じゃ立てない。
現に今だって、エースにしっかり両手で肩を抑えて貰っている状態だ。
それに、少しでも動こうものなら、すぐに左右に船が揺れる。
いや、海は綺麗だけど、マジで怖いわコレ。
海へ出るのは辞退しようと思ったんだけど、エースの私を支える腕の位置が変わった。
肩を支えてくれていたのは、身体を前に向ける為だけだったみたいで、その腕が片手に変わり、なんと腹部へと回ってくる。
そして背中には、がっちりとエースの身体が密着した。
わ、わわわ…!
この間、マルコさんにスキンシップとして、後ろから抱っこされたけど。
それでも、こんなのにはあんまり免疫がない。
どうしよう。
好きっていう気持ちがなくても、ドキドキってしちゃうもんなんだな。

だけど、これは理にかなっていると思う。
二人のばらばらな重心だと、小さな船は傾いてしまう。
でも私の体重分、エースに預けてコントロールしてもらう方がはるかに安全だ。
おそらくエースはそっちの方を考えているんだろうと思う。
っていうか、女性がどうとか意識を全くしていないんだろうと思った。
やがてストライカーがゆっくりと動き出したかと思うと、一気に加速した。
予想外の速度に身体が着いていけず、そして先頭に立っている恐怖が襲いかかった。


「ぎゃあああああああ!」
「もっと色気のある声出せねェのかよ」


後ろのエースは私の耳元で笑い声を上げていたけど、それどころではない。
私の予想を遥かに越えて進む船は、軽さの為か時折大きな波に負けて浮き上がったり、沈んだりを繰り返す。
三半規管を容赦なく刺激された。
その度に私の身体も浮き上がるから、エースのに完全に身を任せる状態になっている。
腰にあった腕は、腰から肩に斜めにかかってがっちりとそこを掴まれていた。
私があまりに叫ぶからだろう、少ししたところで僅かに速度が落ちたような気がした。
緩めてくれたんだ。
エースの意外な、繊細な優しい部分に触れた気がした。
それに最初こそ、他の誰かを乗せることのなかったエースが、重心に戸惑ってはいたもののすぐに慣れた様子で、船も安定して進んでいく。
エースがさっき言った通り、道のない道を進んでいく気持ちよさ。
耳には風の音と、エンジン代わりのエースの火が巻き起こす水の音。
これは…気持ちいい。

暫くして、海の真ん中でその動きが止まった。
音が大きすぎて、これまで会話らしい会話をしていなかったし。
だってエースの声は私の耳には届くけど、私の声は全くエースには届いていないみたいだったから。


「どうよ、これがおれの…」
「すごい、すごいよエース!天才!」
「お、おお、いいドライブだろ?」
「これ、私も乗れたらなぁ…」
「いつでも言えって、乗せてやるから」


気をよくしたエースが、再びストライカーを動かした。
曲がるのも自在な様子で、方向転換も上手いものだった。
でも何より、やっぱり一直線にまっすぐ進むのが私は一番好きだった。
風を切るこの感覚が、すごく気持ちいい。
マルコさんも、空を飛ぶ時はこんな感じなのかなって思った。
景色は変わらないけど、どんどん前に進んでいく感覚。
本当に、気持ちよかった。

だけど、不安もひとつ湧いてくる。
さっきから、海しか目に入らない。
モビーの姿が見えなくなってから暫く経つけど、大丈夫なんだろうか?


「エース、帰りって大丈夫なの?」
「えー?なんだって〜?」
「か、え、り!」


横を向いて叫ぶとようやく声が届いた様子で、ああ、と納得して速度を緩めるエース。
大丈夫大丈夫、とにししと笑いながら、背後を親指で指示している。


「オヤジのビブルカード持ってんだ、リュックに」
「エース…リュック、背負ってなくない…?」
「………え?」


ええええええ?と大きな声を出して慌てて背中を探っているけど、エースが身に着けているのは黒いパンツだけだ。
私だって、こんなにも移動するなんて思ってなかったから、軽装備どころかほぼ部屋着だ。
二人で顔面蒼白になってしまい、気の緩んだエースの腕の力が抜けた。
途端に私のバランスが崩れてしまう。
慌てて抱き直してくれて、海に落ちることは避けられたけど、状況は全く変わらない。


「エース、所持品は?」
「…なんにもねェ。☆☆☆は?」
「ポケットに小銭が少しだけ…」
「船の奴にこのこと話してから来たか?」
「ううん、散歩程度だと思ってたから誰にも…」
「おれも…」


状況は絶望的だ。
落ち着くために、二人でストライカーに腰かけたけど、役に立ちそうなのは私の持ってた数百ベリーくらいだ。
モビーでお金を使うことなんかほとんどないから、これがポケットに入ってたのは奇跡に近かった。
だけど、こんな小銭程度じゃどこか島にたどり着いたとしても、どうしようもない。
エースと二人、私の掌の上にある数枚の硬貨を眺めて、ため息を落とした。
エースは何度もポケットに手を突っ込んで探っていたけど、出てきたのはゴミくらいで、役に立つものはひとつもなかった。
どこを見ても、一面の海。
そりゃ、すごく綺麗だけど。
出たのは昼を過ぎていたから、今は綺麗な海でも夕刻も近づいてきてしまうだろう。
今が一体何時なのかもわからない状況だ。
暗くなってしまう前に、船を見つけるか、島を見つけるか…。
この船の上じゃ、眠ることも不可能だ。
後ろに戻ってみる?
でもエース、何度も方向転換してたし…。
とりあえず、進んでみるかとなけなしの大事なベリーを握りしめた時だった。


「二人して、何の相談だい?」

「マルコさん!」
「マルコ!!」


ストライカーの船首にトンと、降り立つ軽い音がしたと思って振り返ると、マルコさんの声が上から降りてくる。
目の前には、マルコさんがいつも履いているグラディエーターサンダル。
マルコさんを足もとから見上げる形となり、その高身長が更に際立っていた。
マルコさんの近くに行こうと立ち上がると、思い切り小舟が揺れた。
ぐらりと崩れる体幹、海に落ちる…と思った瞬間、ふわりと優しく抱き留められた。
マルコさんの腕の中に飛びつく格好になってしまい、身体をしっかり抱きしめられると、もうほとんど船から足が浮いている。
それにしても…。
私なんて、ちょっと身動きしただけでも、船が転覆しそうになるっていうのに。
エース然り、マルコさんだって船首に立っているのに、全く揺れる気配すらない。
この人達の運動神経って、一体どうなっているんだろう。


「あー…悪ィ、マルコ。調子に乗っちまった」
「そのようだな、全く何やってんだい」
「私がお願いしたんです!」
「…だから二人とも、船に無事に戻れたら、たっぷり説教してやるから覚悟しとけよい」


エースも私も、マルコさんの怒気を含んだ声色に、ぐっと喉を詰まらせる思いだった。
だけど助かった、と安心したのも事実で。
実際のところ、本当に救助された感はハンパないわけなんだけど、マルコさんがいるっていう事実がより一層、安心感を与えてくれた。
この腕の中なら、絶対大丈夫っていうか。
マルコさんがごそごそとポケットを探って、何か小さな紙をエースに手渡していた。
それはビブルカードで、エースの手の上で僅かにマルコさんの方へと移動しているようだった。
マルコさんのビブルカード!
いいなぁ…。
可愛い…。
欲しい。
私があまりにじっと見てるからなのか、マルコさんに小さく笑われた。


「さすがにおれも慌てて出てきちまった、準備はそれだけだい。…カード頼りに、戻れるな?」
「ああ、これさえありゃ、おれは大丈夫だ。☆☆☆は?」
「おれが連れて帰るよい………お前にまた船まで抱かせられるかよい」
「ん?……なんて?」
「…なんでも」


さっきまで子供みたいに眉を下げて頭を掻いていたエースはもういなくて、今はストライカーの上で立ち上がり、いつもの自信たっぷりな彼に戻っていた。
人さし指を立てて、そこから火を上げている姿は、正に賞金首の自信といった様子で格好良かった。
でも私、はっきり聞こえてしまったから、それどころではない。
マルコさんが小さく早い速度で口にした言葉。
うわー。
うわー…!!
マルコさんの私を抱きしめる腕に更に力が篭るから、余計に照れてしまった。
早くこの場を離れないと、頬がだんだんと熱くなってくのがよくわかる。
思いっきり心配をかけてしまったこの状況なのに、顔が緩むのを止められそうにない。

マルコさんがストライカーの上で、不死鳥の姿に変わっていった。
こんなに間近で見るのは初めてで、その美しい色合いやふわふわな羽をじっくり観察したい気持ちもどこかにはあったけど。
それでも今は、すぐにこの顔をなんとか隠さなければならない。
おかげで素直にその背に乗せて貰うことができた。
しっかりつかまれ、と言われてふわふわの首筋に腕を回すと、ゆっくりと上昇していった。
普段のマルコさんの背よりも、ずっと広い、不死鳥の背中。
ふわふわで、乗せて貰えているのがすごく心地いい。

そして上昇したその先に、小さく、本当にごく小さくモビーの姿が見えた。
こんなに遠くまで探しに来てくれてたんだ…。
嬉しさと愛しさが込み上げて、見えないことをいいことに、マルコさんの首筋に頬ずりをした。
マルコさんの香りもしたけどやっぱりその感触が、気持ちよかった。


「ふわふわだ…」
「☆☆☆、この状況ちゃんとわかってんのかい?」


マルコさんが呆れたように溜め息を落としたけど、それは止められなかった。


暫く飛んで、ようやくモビーの上に移動をすると、丁度真上でマルコさんが人間の姿に戻ってった。
私は一瞬、身体が浮いて落下する感覚があったんだけど、すぐにマルコさんの腕の中に捕えられてしまう。
抱きかかえられ、モビーの甲板に降りると、心配してくれていたんだろう、数人のクルーの人達が迎えてくれた。


「エースがもう少ししたら戻る、引き上げてやれ」
「うっす!…☆☆☆さんは?」
「こいつは、説教だい。暫くおれの部屋に、誰も近付けるな」


あれ?
てっきり甲板に下ろされるんだと思っていたのに。
マルコさんに抱えられたまま、下ろされることなくその足は船内へと移動していく。
何を言っても、どう動いてもびくともせず、足早にマルコさんの部屋を目指している様子だった。
荒々しく部屋の扉を開いて中に入ると、ようやくそこで地面に下ろして貰えた。
もう夕方で、薄暗くなりつつある室内、マルコさんの表情がよく見えないから、少しだけ怖い。
怒ってる…?
怒ってる、よね。
皆にも心配かけちゃったし。
謝ろうと思った時、マルコさんが後ろ手で鍵をがちゃりと掛けた。
扉間際で、再び身体を引き寄せられて、さっきとは比べ物にならない程、強く抱き込められた。
背中と後頭部にマルコさんの掌がぴったりと密着している。
その二か所を中心に、マルコさんの上半身に押し付けられている感じだった。


「マ、マルコさん…?」
「心配した…本当に、心配したよい」
「すみません、あんなに遠くに行くなんて考えてなくて」


あの後、私とエースがいないことに気が付いて、ストライカーもないということで大騒ぎになったそうだ。
エースの部屋を確認して、荷物のほとんどがそこにある状況、でも海を見渡してもストライカーの姿はなく、行方知れずになった私達。
マルコさんは上空から探して、見事探り当ててくれたらしい。
本当に、見つけて貰えなかったらどうなっていたんだろう。
エースと野宿かな。


「それと、他の男に無防備な姿晒すんじゃねェよい」
「男…って、エースだし…」
「どこだい」
「…え?」
「エースに抱かれたのは、どこだい」


抱かれたって、言い方!
抗議しようにも、マルコさんは真剣だし、私も迷惑をかけた手前強く出られない。
間近であまりに真剣に言われるから、後ろから、と付け加えながら、腰元から胸の間を通って肩をなぞって示した。
一連の流れを見てたマルコさんが、大きく溜め息を落とした。
抱きしめられている腕の力が弱まり、間近で目が合うと、細い目を更に細めて私をじっと見つめている。
ドキっとした。
さっきエースに後ろから抱えられた時とは、格段に違う鼓動の速さ。
何より、音が聞こえてきそうな程、脈が上がっている。
そのままさっきエースにされたのと同じく、くるりと身体を反転させられる。
後ろから、マルコさんの片腕が腰に伸びてきて、胸を通って肩をがしっと掴まれた。
こうかい、なんて耳元で言われたけど、それより、胸!
胸の間にマルコさんの腕!
むにっと押し上げられるように、私の胸がマルコさんの腕に乗っている。
さっきエースに同じことされた時は、気にも止めなかったのに。


「でもさっきは…その、私が高いところに乗ってたから、もうちょっと同じ高さ…で」


そうだ、気にならなかったのは、こんなに下から持ち上げられるような感覚じゃなかったせいもある。
火を送る窪みに入っていたエースと、その上の方に立っていた私と、ほぼ身長は同じだったと思う。
私の言った内容を少し考えているのか、マルコさんの動きが少しの間だけ止まった。
でもすぐに私の身体を抱き上げて、ベッドへと移動していく。
そこにゆっくりと下ろされ、座る格好を取らされた。
背後には、ぴったりと背中に上半身をくっつけているマルコさんがいる。
いつの間にか脱がされた靴は、二人分、ベッドの下に放られている。
二人分の体重を受け止めたベッドが小さく軋み、静かな室内に響いた。
マルコさんの足の間に身体を挟まれて、隙間がない程に身体を密着させ合っている状態だ。
もう一度、マルコさんの腕が私の身体を斜めに走って肩を掴まれる。
腕の長さに差はあるものの、さっきエースにされていたのと同じ…よりもずっと、深い密着度だ。


「こう…だったかい?」


耳元で熱っぽく囁かれると、身体がびくんと反応を示した。
確かにエースにも似たところで声をかけられていた。
だけど、今のマルコさんはそれ以上に近いし、今にも唇が耳に触れてしまいそうな程、吐息を感じる。
密着が足りなかったのか、マルコさんのもう一方の腕が腰に回った。
ぐっと更に引き寄せられると、呼吸さえままならない程、マルコさんの腕に捕われていく。
もうだめ…しんじゃう…。
緊張どころじゃない。
恥ずかしいなんてもんじゃない。
心臓、もうそろそろ、口から出てもおかしくないと思った。


「マルコさん…あの、そろそろ…」
「ダメだい、…消毒にゃまだ足りねェ」
「でももう……ほんと…ン、ぁあ…ッ」
「他は?…何された?」
「…ぁ、ぅ…んんッ…も、ない…です…」


何度も首筋を吸われ、甘い声が出てしまうけど、マルコさんは許してはくれなかった。
体勢こそ変えないものの、締め付ける腕の力に強弱を付けられて、まるで何度も抱きしめられているような感覚だった。
その都度、腕で胸が持ち上げられたりするから、声が我慢できずに絶えず漏れてしまう。
ちゅっちゅと耳元からは、リップ音が鳴っていて、肌に唇が触れ、辿られているようだった。

それはずっと、夕食だという声が廊下に響くまで続き、解放して貰えなかった。
ドキドキしすぎて、知らないうちに何度か心臓がおっこちたと思う。
それくらい、官能的で、直接的に身体を求められている気がした。




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