Saint Cecilia 離島へ 皮を脱ぐヤシ 朝焼けモーニングコーヒー まどろみのデイベッド (紅色に日焼けした彼の皮膚と、 ちいさな口元のしわを眺めている) 星の鏤める はりつく夜空 : : 紅芋ちんすこうって若いカップルみたい。 甘やかにくだけて、ざらりと溶けた。 : 最後の夜、なんとなくすることも無くなって ヴィラの中で美しい番組を観た。 大自然の中で生きぬく動物達に焦点を当てた番組だ。 恐ろしい蛇から逃げようと走るイグアナや、 イグアナの背中で休んでいるハエや、 ハエを捕食するカメレオンを眺めながら、 はやくこの人との子供がほしいと 私は考えていた。 : すっかり陽の沈んだ海岸で、手を繋いでみた。 彼のことを何にも知らない女のふりをして。 大きな手のひらは驚くほどごわごわしていて、 それでもやっぱりあたたかかった。 : みせかけのおゆうぎ 耳ふさぐ声の迫りかた あまえんボ で いけないこ それはまことにすれちがい パールに染める白鳥なわたし まるいおでこ ひかるくちびる さみしくておろかな大人たち 退行したわたくしを海へ沈めてよ すべて、あなたと、駄目にする雨 CUTE NA SESUJI NOBASU BOY シャープなおみ足、明日へ向かうつま先 おほしさまに手をのばすほど愛は遠くなるの ひらり、大人びた 二度目の春 黒豹の息づかい 犬歯に喰らいつかれてごめんなさい ふわふわの手で触れないで 君と暮らして見つけたことのひとつ 桃色にこぼれおちるわたくし 坂道と時めき、くちづけを添えて ベージュと水色の寵愛を受けたもう 求めているだけのうちは誰とでも同じ しろの君、表参道のテラスがよく似合う すらすらと描かれた僕の未来図 不確定な青をいつの日か君と そんなもの ささやかな秘め事 さあ、夢追う私を始めましょう 身を寄せ合って、あじさい 冴え冴え なじむ胸部 にぎる手掌 3人目の女になあれ 身を寄せ合って、あじさい つややかに押し込める睦月 不自然に存在したこの宇宙 そのちいさな肩にとろけたいの 左肩から指の先へと沈み込まんとす 山の幸を盛り込んだイタリアンバルの喧騒 その夜 君のそのすらりと通った鼻筋が天の川みたいにきらきらと光るのを ぼくは眩しさに目を細めながら 夢の中でゆらめいて ただひたすらに眺めていたんだ 理想化かさねてミルフィーユできた 単純接触 フェニルエチルアミン 惜しみなくあたうかなしみ ほどけきっちまった警戒心 君の体温を忘れろ舌の旋律を 理想化かさねてミルフィーユできた 顔もなまえも 存じぬ悦楽 これは罪じゃないよと言ってみて ねえ、ロミオのジュリエット ドライフラワーとお呼びになって 類似性と相補性、頸骨と腓骨 シェイクスピアは云った、 「愛とはため息でできた煙だ」 羽根が生えたから 朝日が昇れば飛んでゆけるから だから このまま君のうさぎになりたい 潔癖症 深海ノーブル いたずらなやえば ネイヴィー僕を見つめてさ なにもかも麻布十番のせいだから 奥さんという軽やかなサウンド 君は誰かのものだということ ふれて さすって ほだされる このまま君のうさぎになりたい ホールド・ミー・タイト 始まりも終わりもない僕ら あわ粒のジェラシィ いいのよ テリーヌはしとやかに嗤う たゆたう はじまりのネオンテトラ 明日には君も知らない口付け Dover Street Market GINZA それでも懺悔の雨は降らない 甘香ばしい皮膚の感触 タイガーマスクの気まぐれ 夜にのみ咲く花 マグノリア 淫靡にも 銀粉を散らす蝶となれ テリーヌはしとやかに嗤う 極上の朝食 僕には羊水のベールがあるんだから いろづく16週 僕には羊水のベールがあるんだから ピンク色のまるいあざ いじらしいレタスの純白 眠りの森に抱かれ、墜落 キヨシコノヨル コノヨルキヨシ 痩せた指からすり抜く指輪 君と歩んだ年月を想ふ 僕らは桜色になる小夜 初々しく染めあげる春秋 きらきら 初々しく染めあげる春秋 安らかに君とメレンゲ みめよく白むダビデとともに 其の瞳と眉の奥まり あなたとの日々 別れの音が囁くのだけれど されど無慈悲に遠い蝉騒 幾度も重ねた君と僕の肌が とろめきあうだなんて きっともう Gustav Klimt 溶接されきった硝子玉を そっと宝石箱に仕舞う僕らは 吾のゲレンデ 浮き出る肋骨の凹凸を愉しもうぞ 吾のゲレンデ 一夜の魔法をかけようか 弾け、煌めく汗となれ かわいいあの子との擦り寄せ 1秒にも満たぬモメント それは密やかで確かな衝撃 君のドラムが心臓を叩く バンドマンに恋をした どうだっていいみたいな視線 ひとひらの羽のかるさ へらり くるり ぺとり ひとひらの羽のかるさ 漆黒の瞳に悦びを遣るひと 幾たび 飾らぬサンタクロースとの色事 意外にも甘い香りをたてている 寄せられた肩 微細な嫌悪を感取 重鎮に透明な夜空へと混ざらん 猫好きの君が 私はすき Moët & Chandon 手厚く踏みしめる一歩 君の頬は直ぐさま紅く染まり その紅は僕の心臓に熱を加えた ハッとしてキャット 舌はざらりとして 食む 猫好きの君が 私はすき いいから手を隠さないでほしいの おさな顔 交錯せよと云わせた雄蕊 左様なら憧れのとき 0時 仄めく街灯 ため息落とし 糸切らす果実 ちゃんと笑っているはずね ほおを撫でられるハピネス 乾いた口付けは煙と共に それは意外にも簡単なことで オイル漬けの魚みたいなまろみ 息遣いにて 嗅ぐ獣 ぽつり 貴方が近くにいなくてよかった 左様なら憧れのとき ちぐとはぐが出会ったとしても ぬるんだいろはす メントールまじりの夜風を 透明な虹彩にまどろむ睦月 ちぐとはぐが出会ったとしても 静寂を取り戻せ、子宮の音がする 鋭く切れ込んだ目頭の誘惑 僕のこころはすっかり干されていて 白い無花果みたいだねと朝靄に笑った 蜘蛛のような君なので きっと私の腰を手繰り寄せられるだろう ゆるやかな 春のすぼまり |