それはまだもなき秘密










彼女に抱く感情は色で例えるなら黒と白、赤と青。つまりは真逆。そしてこの感情はいつでも相反して静かに陰陽を描いている。

「来週の日曜はバドミントン大会に出るわよー!!」
「月曜から試験だろハルヒ」
「我がSOS団に試験休みなんてないわ!」
「休ませろ」

いつも通り繰り広げられる会話を眺めながら朝比奈さんの煎れてくれたお茶で喉を潤す。
この会話にも慣れ、神と呼ばれる少女と鍵と呼ばれる少年は果てのない口論を続けていた。
やがてその口論も終わり、彼は僕の目の前に座る。中断していたゲームを再開するのかとゲームに手を伸ばそうとしたら、彼はむすっとした顔で問いかけてきた。

「古泉。オレは思うんだがな、たまにはお前からもハルヒに言ってやれ。むちゃくちゃ言うなって」
「そうは言われましても」
「…なんでそんなにお前はイエスマンなんだ」
「そうは言われましても」
「あー、もう」

彼は頭をがしがしかいている。

「お前はハルヒが好きなのか、嫌いなのか」
「どうしてそういうお話に…」
「そういう物言いをする奴は相手にどっちかの感情しか抱かないもんだ。相手を傷付けたくないか、相手と争うのが面倒なだけか」
「僕が涼宮さんを傷付けたいわけないでしょう?」
「お前は閉鎖空間を造られたくないだけなんだろ。ハルヒの身と世界、どっちを心配してるんだ、お前は」
「どちらとも、ですよ」

この回答は間違いではない。
僕が彼女に抱く感情は黒とも白とも呼べる真逆のもの。

「ただ涼宮さんが笑って退屈のしない世界であれば、なんでもいいのです」




けれどまるで愛情とも取れるこの感情の名は。





title by≫彼方に見た原色




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