(どこか別世界の午後)
「長官は、どうやったら私の味方になってくれますか」
「なんだ唐突に。用件は簡潔に伝わりやすく言え」
「えーと、長官は無愛想で口が悪くて性格も悪くて怖いけどすごい人なので、味方になってくれたらすごく有利になるんじゃないかと思いまして」
「バカもいい加減にしろ。バカのネタでも切れたのか」
「いたって本気です。どうやったら私の味方になってくれますか」
突然現れたうえに、時折わけの分からない質問を繰り返す目の前の娘は、その言葉通り真剣な瞳で睨んでくる。
こういうとき、こちらが何と言おうともなんの効果もないことは既に知っていて、本来なら適当にはぐらかすところだった。が、
「……私を味方にしたいのか」
「もちろんです。鬼に金棒ですよ」
ふと話に乗ってやろうかと思った。
これはただの興味で、この女官吏がどう切り返してくるか、見たくなったのかもしれない。
「私は安くないぞ」
「おいくらですか」
「そうだな」
とん、と机を軽く叩く。娘は相変わらず瞳をそらさない。
「私以外を全て棄てられるのなら、考えてやろう」
娘は瞳をそらさない。
ただ一瞬、揺らいだだけ。
まるで真昼の白昼夢
title by≫彼方に見た原色