木々が揺れている。
「忍ならばもう少し静かに行動なさい。お転婆娘ではないのだから。」
「行くのか…?」
私の前に降り立ったかすがは眉間にしわを寄せ、息を切らしていた。
「あぁ…、長居は無用だろう?」
「……そうだな。」
私は小さく微笑んだ。
昔を思い出したからだ。
「お前は寂しがり屋だね。」
「なっ…!黙れ!」
「照れなくても良いさ、私も寂しい。」
「………。」
素直過ぎるのだ、彼女は。
「女は幸せにならなくてはいけないのだよ、かすが。」
私が微笑んで見せた。
かすがは相変わらず仏頂面でこちらを見る。
「お前は幸せなのか?」
私は立ち上がった。
「今から探しに行くのさ、私の幸せとやらをね。」
私は思い切り地を蹴った。
幸 福 論 者
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