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「#エロ」のBL小説を読む
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交わらない

※ちょっとだけ注意


「はーい。どちらさまですか…」
「よ、よう…」
「は、…新…一…?」

突然なったチャイムに答えて家のドアを開けると、突然姿をくらましてしばらく会っていなかった幼馴染が立っていた。
一瞬反応が遅れる。

「……え?…え、本物?」
「偽物がお前の家なんか知ってるかよ。バーロー…」

幼馴染はなんだか膨れながら勝手に家にどすどすと入っていく。
偽物だとしたらとんでもなくずうずうしい偽物だ。
とりあえず幼馴染を追いかけながら、冷蔵庫からお茶を出してコップに注いで持っていくことにした。

「え、…とりあえず、本物だと仮定して質問するけど…、」
「本・物・だ!!!」
「はいはい。……お前いままでどこ行ってたんだよ…」
「あぁ…いや…その、事件が…」
「またそれかよ…全く、蘭がいつも心配してるんだから、僕じゃなくて彼女のとこいってあげなよ…」
「なんで今あいつが出て来るんだよ…」
「だって、…」

それは、彼女がおまえのことを好きだからだよ!
なんで気づいてあげられないのか。
お前が消えてから蘭はいつもさみしそうで見ていられないのだ。
それに、コナンくんも心配していた。

「だから、俺はお前が…!」
「僕がなに…?」
「え…と、おまえが、そ、その…寂しがってると思って……」
「は…?」

思いつめた顔で何を言うかと思えば。
寂しがっているのは蘭だよ!と大声で肩をゆすりながら言ってやりたい。
はやく目を覚ますべきだ。
こいつはどこまでも鈍感なのだ。あんなに彼女が心配しているのに。
しかも、聞いた話では消えたのは彼女と遊園地に遊びに行ってる途中だと言うじゃないか。
どんな彼氏だよ。

「寂しがってるのは蘭だよ…本当にかわいそう…」
「………っ…お前は、」
「……?」
「お前は心配してくれねぇのかよ。」
「まぁ……心配したけど…、なんとなく大丈夫かなって」
「……はぁ………」

深いため息を吐く幼馴染に、なんとなく疎外感を感じて膨れた。
いつも僕にはよくわからないことを言っていて全くつかめない。
探偵の考えることは一般人には理解できないのかもしれない。

「……でも、新一の顔見たらちょっと安心したかも。」
「……っ、…なまえ…」
「……本物だったらだけど。」
「本物だ!」

久しぶりに幼馴染と馬鹿なやり取りをして、すこしだけ安心したというのは事実だ。
本当は心配していなかったのだけれど、あまりにも蘭が心配するものだから僕も心配になって来たところだったのだ。
楽しそうな幼馴染をみながらゆっくりお茶を飲む。

「さて、」
「……?」
「そろそろ蘭のとこ行ってあげなって。待ってるよ」
「……だから…!!」
「………っえ…」

二人のために気を使って、素直じゃない幼馴染を送り出してやろうと手を握って立たせてやると、突然腕を引かれてそのままベッドに倒れてしまった。
驚いて思わず目を瞑ると、身体がベッドに当たって弾む感覚がする。
恐る恐る目を開けると目を見開いて驚いたような顔で僕を見下ろす幼馴染が見えた。

「………??」
「……っ…、なまえ、ごめん。」
「っ…?!えっちょっ…」

驚いた顔から一転、少しだけギラっとした目を見せた幼馴染が突然覆いかぶさって来た。
こいつはいったいどういうつもりなんだ。
蘭はどうした。

「ちょ、新一…!?んっ……ひゃあっ…あ、やめ…」

するりと服に手を入れられて、驚いてぴくりと反応する。
首に顔をうずめられたかと思うとぬるりとした感覚がして、新一の肩を押しながら抵抗した。
するするとお腹や脇腹を撫でられて、首を何度も舐められる。
幼馴染にこんなことをされて、少しずつ息が荒くなってきてしまう自分が恥ずかしくなった。

「しん…っあ…まずいって…や…っ…っひぁあっ」

目を瞑って、新一の肩をぎゅっと掴んだ。
何も答えてくれなくて怖くなる。
突然、耳をべろりと舐められて思わず大きな声が出てしまって、両手で口をおさえた。
は、恥ずかしい。
耳まで赤くなっているのが自分でもわかった。

「なまえ、かわいい」
「ん…や……も、やめ……」

頭だけ脱がされたTシャツが手に引っかかって身動きが取れない。
その間もさわさわと体を這う手に、僕はどんどん追い詰められていった。

「っんあっ…ちょ、新一。それはまずいって!ダメ…やだ」

気付くと、ベルトが外されそうになっていることに気付いて必死に腰を動かして抵抗する。
これ以上は蘭に顔が合わせられない。
しかし、僕の抵抗もむなしくベルトが腰から抜かれ、床に落とされた。
もう、だめだ。
ズボンに幼馴染が手をかける。
見ていられなくて俺は目を閉じた。

「ん……ふぇ……?」
「あ、わり。電話だわ。」

すると、そこに似つかわしくない軽快な音楽が流れた。
ぴたりと動きを止めた新一は俺にまたがった状態で電話に出た。
その光景を、息を整えながらぽかんと見つめる。

「あー…。なまえ、事件だって。」
「……え?」
「わりぃ。俺もう行くわ。」
「……?え?えっ」

事件だと言いながら俺から降りた幼馴染は、そのまま服を整える。
呆然とする俺に構わず玄関まで歩いていくそいつを、僕は動かない頭でぼんやりと見つめた。

「今日は殺人だってよ!」

新一が嬉しそうに家を出ていくのを見ながら、俺は少しずつ頭を動かした。

「っは???なに今の。」

落ち着いてくると、訳もわからず乱れた自分の姿にイライラするのが抑えられない。
いったいどういうつもりだったんだ。悪ふざけにしてはたちが悪すぎる。

「なんだあいつ!!!絶対、絶対に蘭はあんなやつやめた方がいい!」

怒りに震えながら、僕は後で絶対蘭を説得することを誓った。
あと、次会ったら絶対に許さない。叩いてやる。
最低で無神経な推理オタクに怒りを覚えながら、僕は自分の服を整えた。



出ていったドアの外で、「途中で我慢できてよかった」とうずくまってため息を吐く幼馴染がいたことを、僕は知る由もなかったのだった。