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微睡み


俺は特に何の予定もなく、もうすっかり外が暗くなっていることもあり、カーテンを閉めて沖矢昴の変装を解く。その後ソファーでコーヒーを飲みながら読みかけだった本を捲っていた。
今日は確かテスト期間が終わるとかで晶太が家に来ると言っていたのも変装を解いた理由の一つだった。
俺と正反対であるこの変装にいまだに慣れないらしい恋人は、昴の俺を見ると何故だかあまり近づいてこないのだ。
それがなんだか懐かない猫のようで可愛くもあったが、いじめすぎては可愛そうだと思い、可能な時は変装をといてやっていた。

「た、ただいま〜。お邪魔します。」
「おかえり。」

どうやら帰ってきたらしい。俺は読んでいた本を閉じ、コーヒーを入れなおすために席を立った。

コーヒーを淹れ終わり帰ってくると、晶太はソファーに横になった状態でぐったりしていた。どうやら相当疲れているらしい。

「そんなに疲れたのか?」
「いや、何度も経験してるからわかってるはずなんだけど、こつこつ勉強するということが出来ない性分でして…」
「次からはコツコツやるんだな。おつかれ。」
「まぁ〜、それが出来たら学生みんな苦労してないんですよ。」
「まぁいい、コーヒーでも飲め」
「ん、ありがと。」

晶太は俺からコーヒーを受け取ると一気に飲み干した。
相当疲れているのだろう。いつもなら突っかかってくるようなことにも普通に返してくる。
俺は吸っていた煙草を灰皿に押し付け、恋人の座っている方のソファーに移動した。

「晶太、お前顔色悪くないか、」
「え、そうかな。まぁ、最近全く寝てなかったから。」
「それに隈もひどいぞ。」
「学生にとって単位は睡眠よりも大事なのですよ。秀一さん。」

コップを机に置いた恋人の顎を触り、そっと上げさせて顔を覗き込むといつもよりも疲れが伺えた。顔色が良くない。
目の下にできた隈をなぞって心配すると、お揃いだな、なんて冗談をいうものだからため息を吐いた。

「何日だ。」
「…、え?」
「何日寝ていないのか聞いている。」
「え、と…4日くらいかな…少しは仮眠もとったけど。」
「はぁ……」

恋人の不健康な生活を知らされて自然と口からため息が漏れた。
仕方がない。と俺は隣でへらへらしている晶太を抱き上げた。

「うわぁ!?いきなり何をするんだおまえは!!」
「いいから、お前はもう寝ろ。起こしてやる」
「いや、いいって。せっかく会いに来たんだし。」
「おとなしくしていろ。」

おろしてくれと必死に抵抗する恋人を無視し、俺はベッドルームへ向かい、
ベッドの上へとおろした。

「……寝たくない。」
「わがままを言うな。寝ていなかったお前が悪い。限界なんだろう。」
「わ、…っわ、」

俺の首にしがみついて駄々をこねる晶太を無理やり引きはがすと、ベッドに横にさせる。
頬にキスを落として頭を撫でていると、瞼が重くなったのかうとうととまどろみ始めた。

「ここは日本だ…キスはやめろ…」
「あぁ。わかったから寝ろ。そばにいてやる。」

そう言ってやると晶太は眠気に抵抗できなかったのかそのまま寝息を立て始めた。
しっかり寝たことを確認した俺は、額に軽くキスをすると、そばにいるという約束を果たすため、本でも持ってこようと一旦部屋を出るのであった。