自己満足


「一番良いのを頼む。」

そう言われてイーノックに贈った純白の装備は、本来は最初に彼が身につけていたような深い青銅色をしていた。
この白は、彼専用にと特別に染め上げたもの。

(良く似合っているじゃないか)
ぐるりと眺めると満足気に一人頷いて、その逞しい背中を見送る。

彼は、金髪に、褐色の逞しい身体。
そして私は、黒髪に、白くて細い身体。

まるで対になっているみたいじゃないか?

私が黒だからお前には白を着て欲しいなんて、ただの自己満足。
自分の見立てに悦に入りながら、自信に溢れた顔のイーノックの対峙する。


「さぁ、行こう。」

私達の物語を紡ぎに。