数学


どんな風に計算しても、どの角度から見ても、解き明かした答えは変わらず、その事実を確認する度に認めたくない思いと納得する心が相反して胸が傷んだ。

割り切れるものが好きだ、唯一絶対で揺るぎないものが好きだ。こんな風に、はち切れんばかり増える想いは、だって。

増えるものはいつか減るのだから。

いつからだろう、笑顔を向けられると心が温かくなったのは。
いつからだろう、誰かと話しているお前を見て悔しい想いを抱えだしたのは。
こんな醜いものは要らないのに、いつからか歓びと共に感情のドアを叩く嫉妬という悪魔がこの身に巣食い、私を蝕んでいた。

お願いだ、お願いだ。
何も要らないから、何も奪わないでくれ。私の心を掻き乱すのは止めてくれ。

それなのに、嗚呼、また。
お前と出会うと膨らむ感情が憎い。
愛してなんか、ない。