いつかの結末


この想いは罪なのかもしれない。尊く気高い、貴方に対してこんな感情を持つのは、きっと神がお許しにならないだろう。

それでも、募る想いは日に日に大きくなり、遂には押さえ切れずに溢れだす。

「好きだ。ルシフェル。」

彼は何と答えるだろうか。軽蔑するだろうか、それとも何でもないのように有難うと言って話をはぐらかすのだろうか。もしかしたら時間を戻されてしまうのかもしれない。
それでも、どうしても伝えたかった。今感じるこの想いを。人間の抱く熱く狂おしいこの感情を。

彼は、俺の大好きな人を喰ったような笑顔で至極あっさりとその呼び掛けに応えてくれた。

「ああ、知ってるよ。」

拒絶されるかと思っていたのに、それどころか反対にこちらに近付き手を伸ばす。予想していなかった反応に、こちらが動けなくなってしまった。
彼はそこまで見通していたようで、一歩分の距離も無い所まで側に来ると、瞳の位置を合わせてじっと見つめてくる。

「だから、一刻も早く堕天使を捕まえろ。」

優しく撫でられる頬に、慈しみ以外の感情を感じたのは気のせいでは無い筈だ。重なる視線のその先、彼の瞳の奥に見える熱い光も。

「そして昇天するんだ。私と同じ場所まで昇って来い。」

それは…その答えは、期待をしても良いのか。俺が、貴方を。

「人間と天使の恋は禁忌だが、天使同士なら、何ら問題は無い。だろう?」

首に腕を回して囁く姿は、まるで人間を堕落させようとしている妖艶な悪魔。

けれどそれは、いつか訪れる最良の未来への道導。