甘いもの


ルシフェルの唇は甘い。

唇だけではない、髪も、指も、声も、何もかもがまるで砂糖菓子で創られているようだ。
天使というものは皆こんなに甘いのだろうか?それとも彼だけ?

そして今日もまた、口付けを一つ。

「今日は未来から良いものを持ってきたんだ。君も食べるだろう?」

そういって差し出されたのは、丸いパンのようなものだった。リング状に真ん中に穴が開いているものや、中に何か入っているものなど色々あり、周囲には白い粉が降り掛かっている。
勧められるままに手を伸ばして、一口。

「凄く甘い。」
「甘いものは嫌いかい?」

その問いに、笑いながら首を横に振った。嫌いな訳が無い。

だって、俺の大好きなものは世界で一番甘い貴方なのだから。