「マライヒは浮気だと思い込んでいるようだがあれは本当に仕事だったんだ。どうにか誤解を解きたい。」
そう言うバンコランの顔は少々青ざめており、余程切羽詰まっているのだろう、身体も小刻みに震えている。この男がここまで情けなく怯えを見せるのはパタリロの知る限りマライヒに関する事だけで、この浮気者なりにきちんと愛してはいるのだろうなと一応の理解はしても良いかと思った。

だがそれとこれとは別の話だ。パタリロは机の中きらタマネギに探らせていた情報の書かれた書類を取り出すと、バンコランの目の前でひらひらと振ってやった。ちゃんと写真付きのやつである。
「茶髪の方はそうらしいが金髪の方は誤解でも何でもないじゃないか。」
親友はそれまでの狼狽えっぷりを何処に置いてきたのか、一瞬で仕事中のあのスンッとした顔に変わると、いけしゃあしゃあとのたまった。
「それも含めて誤魔化すのがお前の仕事だ。」
自分の性格が捻じ曲がっている事は重々承知だが、コイツも大概クズだよなと、パタリロは改めてそう思った。もういっそ下半身を切り取ってやるとかした方が世界の為な気がする。

ちなみに茶髪の方の詳細を探って欲しいと小銭を握らされたので誤解を解いてやるべく呼んだマライヒがバンコランの背後に居るのだが、果たして彼はいつ気付くのだろうか。

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