この綺麗な顔にまんまと騙された。

姦淫しようとふざけた事を言いながらやって来たベリアルに心が揺れ動いてしまったのは俺がぴちぴちの童貞でありこの美男美女に囲まれた生活に我慢の限界を感じていたからだ。
元々が敵とは言えそんなのは掃いて捨てるほどいる訳だし、昔どうだったとしても居ます敵対しないのであれば無下に扱う理由も無い。ぶっちゃけるとそろそろいい加減美人なお姉さんかお兄さんに導かれて卒業したかったのだ。
そんな時にやって来たベリアルの誘惑はあまりにも抗い難く、欲求不満の俺は鼻の下を伸ばしてホイホイと釣られてしまったのだ。

少しでも顔の造形をしくじっていたら絶対に無理だったが、幸いと言うべきか残念ながらと言うべきか顔面と身体だけは完璧なので本当に悔しいが全然余裕で抱ける。悔しいが。
だがしかしこれはちょっと予想外にも程があると思うんだ。

「待って処女ってどう言う事。」
互いに服を脱いでベッドに入り、いざこれからと言う時に告げられたのは「俺も初めてなんだからそう堅くなるなよカタくするのはその股間のシュヴァリエソードだけで良いんだぜ。」と言う実にふざけた告白だった。

「俺だってもっと姦淫に耽りたかったんだぜ?でも誰も付き合ってくれなくてさ。無理矢理は趣味じゃねーし、お陰で今の今まで清らかな身体だよ。」
まさかあれだけハッスルパフだのソドミーだとの言っていた相手がバージンだなんて誰が思っただろうか。
だがちょっと考えていやでもだからこそヤるのは無理だなと納得もしてしまって、こんな在庫処分みたいに処女を捨てようとしている相手とヤってしまって本当に良いのかとちょっと賢者モード入りかけた。ヴィンテージと言えば聞こえは良いのか。そう言う問題でもないのか。

「でも、特異点は抱いてくれるんだろ?」
俺の首に腕を回すと、ふにゃりと笑って嬉しいなとすり寄って来た。これには流石にキュンときて、やっぱりこの顔に弱いんだよなと抱きしめ返してキスをした。
触れ合わせるだけの軽いものを繰り返し、熱が高まった所で身体を放すと居住まいを正して向かい合う。


「と、言う訳で〜〜特異点の!ちょっと良い所見てみたい!それ勃起!勃起!!」
「お前本当ふざけんなよタイミング考えろ!!!!」

俺が無事に童貞を卒業出来るのかどうかは、腹が立つ事にベリアルにかかっていた。

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