ディアブロの笑顔は歪である、とリムルは思っている。
必要に駆られて貼り付けると言う場合だってあるだろうが、普通ならば笑うのは楽しい時だろう。リムル自身だってそうだ。だが、ディアブロを見ているとどうしても彼が楽しくて笑っているようには思えなかったのだ。勿論、不愉快を感じているのでも無いだろう。ならばあの笑顔は一体何処から来るのであろうか?その日もいつものように側でぺったりと侍っている黒い影にふと疑問を覚えた。

「なぁ、ディアブロ。」
「はい!」
誇り高き最古の一柱は、名前を呼ぶとまるでよく訓練された犬のように反応して、蕩けるような瞳で己の主人を見つめていた。その表情はまさしく先程考えていた歪んだソレで、リムルはその時漸く、腹心であり恋人でもある悪魔の感情が快楽に支配されているのだと気付くことが出来た。
(俺と話してるだけで…って。)
名前を呼んだきり黙ってしまったリムルに、ディアブロは笑んだ儘続く言葉を待っていた。

Back