モノクロの景色


普段と違うルシフェルの格好に首を傾げながらも、今日はこのままでなんて言いながら可愛くねだってくるのに否定の言葉なんか見当たらなかった。
彼がぱちりと指を弾くと私もルシフェルと似たような黒に包まれ、嗚呼これはこの間も着たスーツと言う衣服だと漸く記憶が蘇る。ルシフェルが着ていると何だか別のものみたいだと思ったのは一瞬の事で、次の瞬間には黒いシャツから覗く白い肌に欲情して夢中でそれに吸い付いた。

普段の肌を露出させた服も良いが、かっちりと全身を隠したこの姿も中々どうして堪らない。
黒いシャツとスーツのルシフェルに、白いシャツと黒いスーツの私。モノクロの景色の中、ルシフェルの瞳と舌、それから私の残したキスマークだけが鮮やかな色を放って嫌が応にもそこに視線が釘付けになる。

私が今まで生きていた時間は、確かに素晴らしいものだった。
しかし、彼と、ルシフェルと出会ってからはその全てがモノクロに色褪せてしまって、彼だけがその鮮やかさで私の心を掻き立てる。