ココロノナイマチ


出来心でイーノックにスーツを着せてみたら予想以上に似合ってて男前で濡れたので「抱いてくれ。」

最後の言葉がうっかり声に出てしまい、イーノックは訳が解らないとばかりに目をぱちくりと瞬かせている。しかし私はもう止まる事など出来ないし、イーノックもそれは解っているだろうと勝手に思っているので遠慮無く言葉を続けた。
「こんなに似合うと解ってたなら、オーダーメイドにするんだった…ああそれにしてもかっこいいなお前。」
イーノックが着ているのは上下合わせて五千円程度の安スーツの筈なのだが、その安っぽさが逆に衣装を着た映画俳優のようで何ともムラムラする。
発情した猫のようになった私をイーノックは手慣れた仕草で抱き上げると、ジーンズの上から尻を揉みシャツの中に手を滑らせてあやし始めた。
「貴方のスイッチが時々分からない。」
イーノックはコスプレにさほど興味が無い…と言うか未来の衣類になど縁がないので興奮はしないようだが、それでも私が誘えばちゃんと応えてくれる。
ネクタイを解こうとする手を制し、服もスラックスも中途半端に寛げさせてから自分のジーンズを脱ぎ捨て脚を開いた。

「イーノック、お願い、そのまま抱いて。」

やれやれと肩を竦めながらもイーノックは私のお願いをちゃんと聞いてくれるので、私は安心して黒いスーツの恋人に身体を預けた。