はりぼてのおとな


ルシフェルは結構子供っぽい所がある。
自分が中心でないと気が済まないし、我儘だし、何でも知っていますと言う顔をして、恋愛事にはさっぱり耐性が付いていない。
私はそんなルシフェルの事が好きで、口が動くのと同時にひらひら舞う手のひらや、回りくどく愛を囁くだけで直ぐに顔を赤らめてしまうその態度を見る度に、彼に対する愛しさがふつふつと沸き上がって来る。

イーノックは大人ですねと、どこかの天使に言われた。
それは奔放なルシフェルの相手をしている事への労いのつもりで放たれた言葉であったように思うが、それは過大評価と言うものである。
ルシフェルが好きだから、彼と一緒に居たい、そしてあわよくば、その身に触れて二人愛し合いたいと思っているだけだ。
どこまでも純粋なルシフェルとは違って、私は浅知恵も練るし、肉欲もある。余計な所まで大人になってしまっただけだ。

可愛い可愛い私の大天使。
貴方がそれを望もうと望まざるとも、私は見かけ倒しの優しさで貴方を包み、その美しい心と身体を手に入れたいんだ。