夜にふられても


「イーノックは僕の太陽なんだ。」
喉なんて無くとも俺達が意志の疏通を図るのには困らない。
ふとした拍子そう言うアルマロスの笑顔は本当に眩しく輝いていて、気が付けば俺の口からは言葉が滑り落ちていた。
「なら、アルマロスは月だな。」
なあ知ってるか、砂漠の国で太陽は無慈悲の象徴なんだって。堕天使をネフィリムを容赦無く断罪する、その姿は良くも悪くも確かに太陽だろう。
その点お前は月だよアルマロス、ただひたすら優しく辺りを照らしてくれる。その光は誰も傷付ける事は無い。
アルマロスは照れたように笑って有り難うと言うので、少し、心の奥が痛くなった。

太陽は月を見ないんだよなんて思いを言葉の裏に隠していたので。