イタコLOVE


天使へと姿を変えたイーノック、もといメタトロンは、何も変わっていないように見える肉体をしげしげと眺めながら複雑そうな表情で首を傾げた。
「…今の私は、アストラル体なのか?」
「エーテル体も残ってはいるはずだが、基本的にはそうだな。姿も自由に変えられるし、エーテルを使わずともアストラルで。ちょっと私に触ってみろ。」
ルシフェルは愉快そうに腕を伸ばし、誘うように指先をひらひらと動かしたかと思うと、メタトロンのエーテルの手では届かないくらいの位置へと後ずさる。
メタトロンは今一つ納得のいっていなさそうな顔をしていたが、諦めたのか考えるよりも行動だと感じたのか、とにかくやってみようと見よう見まねで目を閉じた。

いつも触れているルシフェルの肌、温度、薫り、柔らかさ。それらを求めて腕を伸ばすように意識を集中させる。
「ひゃっ!」
すると、突如ルシフェルが顔を真っ赤にして肩を跳ねさせ、驚いたように目を瞬かせた。
「な、な…。」
「おお、これは凄いな。」
感動したように呟くメタトロンは、何にも触れていない。
それなのに、指先から腕、足に至るまでルシフェルの気配と感触を確かに掴んでいた。
そうなれば後はこっちのもので、勝手知ったる身体の弱い場所を丹念に責め立てる。逃がさないようにと念じていたのが幸いしたのか、ルシフェルは指を鳴らす事も出来ずにアストラルをまさぐられて震えていた。

「待っ、イーノック…やっ、あ、あ!」
やがて白い膝からがくりと力が抜けた頃、今度こそエーテルの肉体を使って恋人を抱き締めたメタトロンは、これは良いことを聞いたとほくほく顔で寝室へと消えていった。