タイプ


人間は自分に無いものを持っている相手に惹かれる。らしい。ルシフェルが言っていた。

お前それはわざとなのか俺の気持ちを知っていてあえて言っているのかと一瞬にして顔を赤くしたが、本人は単なる世間話のつもりだったらしく、俺のあからさまな動揺に対し素直に謝罪されてはそれ以上何も言えない。


透き通るような白い肌、力を入れれば折れてしまいそうな細い身体。口下手で何を話せば良いのか分からない自分に対し、色々な話題を提供して楽しませてくれる。
どこまでも繊細に作られた、神の最高傑作。


「…なら、全てを持っているルシフェルは誰にも惹かれないのか?」

ぽつり、零れた発言で自分の首を締めた。何を言っているんだ俺はと後悔するも遅く、ルシフェルはきょとんとした顔でこちらを見ている。
頼む無かったことにしてくれ。時間を戻して欲しい。と、固まる俺に笑って一言。


「私だって全能じゃないさ。」


…それは希望を持っても良いのか。
ならば俺はどんな方法を使ってでも、如何なる犠牲を払ってもそれを手に入れるから。


だから、俺が君に無いものを手に入れたその時は。