待つ


くるくる回る。イーノックが回る。
楽しそうに微笑んで、ついさっきまで私の事でいっぱいだった脳内から私を追い出して。そんなどうでも良い事をその意識に取り込んで。

イーノックはアルマロスと楽しそうに踊って回る。

おかしいな、天使には体温など無い筈なのに。身体の芯からすぅっと熱が冷めていくのが解る。
そいつは私のだ。そいつは、その男は。
嗚呼、別に良いさ今は好きにすれば良い。どうせ今だけさ、イーノックはすぐ私の所へ戻って来る。
私は気が長いんだ。戻って来るまで、いつまでだって待ち続けてやるよ。時間はたっぷりとあるのだから。
戻っておいでイーノック。さっきまでのように、頭の中を私でいっぱいにして、私の事だけ考えていれば良いんだよ。今回の事は大目に見てやろう。私は優しいだろう?

ああ、でも、私の可愛いイーノックを唆したアイツには、後でお仕置きしないとな。