甘噛み


ルシフェルの白い右足が私の股間をやわやわと踏むので、私は左足を取って足首に緩く歯を立てた。
徐々に上って膝の裏に辿り着く頃には、彼のふくらはぎは私の歯形で埋め尽くされており、強弱諸々の力を込めたその跡の中には痛そうに内出血しているものもある。
しかし、それをルシフェルが咎めるかと言えばそうでもなく、むしろもっとやれと嬉しそうに笑って足に力を込めた。

「…っ、うぁ。」
地面など踏んだ事の無いような柔らかい足裏が、弄ぶように私を踏む。
痛みの中に快感を覚えるなんて、とんだ変態だなと自分を情けなく思った事もあるのだが、ルシフェルも同じような性癖を持っていると知って安心した。
彼は、どちらかが加虐嗜好を持っていた方が需要と供給が安定するだろと言っていたのだが、俺はルシフェルとお揃いだと言う事実が充分嬉しかったので、別にこのままで構わない。

滲んだ先走りが、ルシフェルの足を汚した。

「イーノック…。」
そんな風に見なくても、大丈夫ちゃんと苛めてあげるから。
足を離して首筋に噛みつくと、嬉しそうにルシフェルが啼いた。