人生ゲーム


コレの続き

「そう言えばルシフェルさんの彼氏ですけど。」と声を掛けられて、思わず作業の手を止めた。
顔を上げて声の主を見ると、そいつは何とも愉快そうな笑みを浮かべてパソコンの画面を見ている。笑顔の原因が視線の先にある機械に関係していない事は明白だ。
「ドSでルシフェルさんはいつも泣かされてるんですって?」
ニヤニヤとした笑みを隠さないコイツは、イーノックのゼミの先輩で、私の職場のバイトである。
私の知らないイーノックの情報をちょろちょろと流してくれるので重宝しているのだが、今回はそれが裏目に出てしまったようだ。

「誰から聞いたんだそんな事。」
「何人もから。学科の奴等は全員知ってるみたいですよ。」
そんなに噂になっているのか、一体どう言う事なのか帰って早速イーノックを問い詰めなければいけない。

***

「と、言う事があってだな。」
「…面目ない。」

土下座でもしそうな勢いでイーノックが頭を下げるのを眺める。
身長は確かに私の方が高いけれども、こんな風に旋毛を見るような事は滅多に無い。
その謝罪っぷりに何だか面白くなって思わず笑い声を上げると、怒られた子犬のような瞳が見上げてきた。
「あの…ルシフェル。」
「ふへへ、別に怒ってはいないさ。」
わしわしと金髪を撫でて鼻の頭に口づけると、首を抱き締めて頬を擦り寄せる。

実際、何でそんな事にとは思ったが全く怒りは沸いて来なかった。
「ドMだろうが変態だろうが、お前さえ気に入るのなら、何だって良いよ。」
かぷりと唇に噛み付いた辺りでイーノックのスイッチが入ったのが解る。
ドSは案外事実なんだよなぁとぼんやり考えながら、押し倒してくる腕に身体を預けた。