奪いたい


胎の中を掻き回される苦しみ混じりの快感にどうしようもないほど浸かってしまって、その狂宴の終わりが見える度にまだ嫌だとイーノックを締め付け抱き締め解放された後も続きをねだった。
イーノックを受け入れているその場所ははしたない程ぐずぐずに蕩けきっており、飼い馴らされた肉体と精神はその事実に気付くとまた悦んで身を震わせる。イーノックのものになれたと言う事が、堪らなく嬉しいのだ。

「ルシフェル、っ、はぁ…。」
対するイーノックは白い身体にのしかかってひたすらに腰を振ると、幾度目か解らない絶頂を迎えて欲を注ぎ込む。
そしてそのままあちこちにキスマークを残してみたり噛み付いてみたりと、まるで動物がマーキングをするようにルシフェルの全身に自分を刷り込んで覚え込ませた。

「貴方が欲しいんだ、ルシフェル…ルシフェル!」
抱き合う度にうわごとのように繰り返される言葉は、何時まで経っても変わらない。ルシフェルの名前と、溢れんばかりの求愛。ルシフェルが欲しい愛していると、それだけを延々と叫んで囁くのだ。
今日もまた告げられる言葉に、ルシフェルは若干辟易している。
これ以上何が欲しいんだ。心も、身体も、私のハジメテは全部お前にやってるのに。もうお前に渡してないものなんて何も無いのに。

けれどそれを言ったら何だか負けのような気がしたので、唇を唇で塞いで無理矢理に黙らせるのだ。嗚呼、私もお前も本当に。
「…馬鹿。」