宇宙船カルハズミ号


カーテンの影に二人隠れてなんて、普通に考えれば布は不自然に膨らんでいるし脚が丸見えで外から見ればバレバレなんだろうが、今回に限って言えばそうでもなさそうに思えた。
あくまでも、内側にいる自分がそう思っているだけではあるが。

午後一番の授業は教室で映画を見るからと、暗幕代わりのカーテンを取ってくるように言われたのが朝礼前。
そして体育館に眠っていた分厚い遮光カーテンを、こうして二人で取りに来たのが、昼休みが始まって直ぐの事だ。

「ん…。」
「ふ、…あ。」
何に使うのか解らない衝立てに引っ掛かっていたカーテンと壁との間には、人が一人寝転がれる程度の隙間があり、小学生の時に秘密基地ごっこをして遊んだのを思い出してイーノックを呼びその空間に身を潜めてみた。
誰も居ない体育館倉庫は妙な緊張感と興奮を私達に与え、身動ぎした瞬間に指先が触れたのを切っ掛けに、そのままなし崩しに床へと倒れ込む。

誰か来たらと言う背徳感が体温の上昇を容易にし、交わす口付けはあっという間に深くなっていった。

「あ…。」
「ん、あ、何…だ。」
「ルシフェル、制服、汚れる…。」
「も、今、そんなの、良いだろ…。」
ごそごそと脚を絡めて硬くなった自身をイーノックに押し付けると少し迷った様子を見せたが、やがて吹っ切れたように手で唇で全身で、私を愛し始める。

昼食を食べ損ねたのに気付いたのは、カーテンを持って教室に帰った後だった。