ずっと夢だったから


「お戯れを。」
そう言って俺の手を止めようとしたルシフェルの制止を払って、薄い胸板をまさぐる。
彼も本気で止めようとした訳ではない。これは言わば一種の言葉遊びのようなものなので。

ルシフェルがこんな被虐的な嗜好を持っていたのは少し意外だったが、同時に自分の中に確かに感じた征服欲と加虐心に、人の事は言えないなと苦笑したのでこの遊戯は続いている。
無理矢理迫られるのが好きらしく、薄い笑みを浮かべる彼はむせ返るような色香を纏っていて美しい。

「メタトロン様。」
指先で胸の飾りを引っ掻いてやると、何とも言えない表情で目を細め、唇は緩く開いて赤い舌を覗かせた。
「ルシフェル。」

「…ルシフェル。」
頭の後ろに手が回るのを感じて名前を呼んだ。


神が姿を消した今、もう彼を寵愛出来るのは俺しか居ないので。