略奪宣言


「私はずっとお前と共に居るよ。」
優しげに掛けられた言葉に嘘偽りなど無いとは知っているが「共に居て」くれるだけであると言うのもまた理解していた。

彼は私のものにはなってくれない。

白い肌も、艶やかな髪も、透き通った声も、何一つとして。
ルシフェルは私の想いを知っている。知っていて、それに応えるでもなく拒むでもなく、ただひたすら愉快そうに私が足掻くのを眺めているのだ。
そうやって見つめられるだけで至上の喜びを感じている自分を棚に上げ、最初は彼の事を残酷だなどと思ったりもしたのだが、今となっては彼の姿を見るだけで言い様の無い快感が背筋を這うのに身を任せ、何も言わないのを好い事に妄想の中でその薄い笑みを汚し続けた。

「ルシフェル。」
「ん?」
「ずっと…ずっと、私の傍に居てくれるんだよな?」
念を押すように尋ねれば、笑いながらも返事は直ぐに返ってくる。

「当たり前じゃないか。私が約束を違えた事があったか?」
「いや…なら良い。」

嗚呼そうだな、貴方はそんな事をする筈が無い。だから、ずっと、…この旅が終わった後もずっと、居てくれるんだよな私の傍に?
ルシフェル、酷い言葉遊びなのは解っている。けれど、貴方はこの先ずっと私のものだよ。