お姫様になりたい

ピクシブに上げた漫画の続き


ぐずぐずと鼻を啜りいつまでも泣き止まないアルマロスに、ベリアルとその側近はやれやれと息を吐いて顔を見合わせた。
どこぞの大天使に嵌められた挙げ句にこんな場所に堕とされ、命を助けた友人に倒されるなどと、全く悲劇としか言い様が無い。
堕天の所為で思念で会話する事も、言葉を放つ事もままならない彼は、自らの不幸を言葉にして嘆く事も不可能だ。そんな哀れな堕天使と意思の疎通を図る方法は無く、ベリアル達はただただその背を撫でてやる事しか出来なかった。



アルマロスは自分の身に降り掛かった災難にむせび泣きながら、同時に周囲に対する申し訳無さで胸が押し潰されそうになっていた。
ベリアルを始めとする冥界の住人達は想像していたよりもずっと優しく親切で、このまま此処で暮らすのも悪くは無いと思うしそれはそれで楽しい事だとも感じつつある。


けれど。

イーノックが自分を必要としていないんだと言う、ただそれだけが抜けない朿のように心臓の中心を酷く傷つけて起き上がれなかった。
決して、決して、不幸では無いのに。