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ルシフェルの話はいつも唐突だ。

「陰と陽…お前には光と闇と言った方が解りやすいかな、神は私とミカエルをそんな風に、対になる存在として生み出したんだ。そして、光と闇に当てはめた場合ミカエルが光で私は闇だ。」
自分にはどちらの存在も光だとしか思えないのだが、まぁこれは例え話のようなものなのだろうと一つ頷いて続きを促す。
今日の話は天使の生態(?)についての事らしい。人間とは全く違う彼等の存在は確かに尊くはあるのだが、同時に非常に摩訶不思議でもある。ルシフェルの話で少しは天使と言う種族の事が解ればと耳を傾けていると、彼の口からとんでもない内容が飛び出した。

「人間では、光は男で闇は女を表す。私の魂は女に近いんだよ。イーノック。」
「えぇぇ!?」
思わず素っ頓狂な声が上がる。
だって、そんな、どう見たって男の姿じゃないか。それに、ルシフェルが女だと言うのなら。

「ふふ、驚いているな。この世で一番美しい姿をと思ったらこうなったんだ。それに、男の見た目の方が色々と都合が良いしね。」
ふふんと何処か誇らしげに述べる様が何だか子供のよう…だなどと考えていると知られたら怒られるのだろうな。しかし、先程の言葉の所為でルシフェルが益々可愛く思えてしまう。
「ルシフェルが…。」
「ん?」
「ルシフェル、が、女性と言う事はつまり…。」
「何だはっきり言え。」


焦れたように睨む瞳が上目遣いだったのが悪い。


「愛してる結婚してくれ!!」


ぱちりと瞬きをしたルシフェルに「お前はいつでも唐突だな」と笑われたが、否の返事は返って来なかった。