震えるエルフ


太くて熱い楔がずるりと肉の隙間から引き抜かれると、骨の浮き出た白い背はひくりと震えて弛緩した。
丸くなった背筋は普段の飄々とした態度からは感じられない程弱々しく震え、ただじっと熱の過ぎるのを待っている。

「はは、凄いなルシフェル。まるで濡れてるみたいだ。」
イーノックはいっそ爽やかさすら感じられる笑みで微笑むと、未だひくつく紅い縁を指先でくすぐり、誘われるように指を埋めた。
先程まで凶器のような大きさのものを受け入れていた場所は、大した抵抗も無くあっさりとその異物を受け入れ、吐き出された粘液が潤滑油のように奥へ奥へと指を進ませる。
「ひっ!」

ルシフェルは羞恥に顔を赤く染め上げ、ただぎゅっと目蓋を閉じて耐えようとするが、イーノックはそんな事を構いもせずに弱い場所を責め立てていく。
「あっ…ん…や…。」
手が真っ白になってしまうまでシーツを掴み、与えられた刺激にされるがままに声を出すと、背後でイーノックが嬉しそうに笑ったのが解った。
ルシフェルがこのような辱めを素直に受け入れているのは、ひとえに自分を玩具にしているその男が好きだからだ。愛してるも好きだも言ってくれないこの酷い男が、堪らなく好きであるからだ。

「ルシフェル、可愛い。」
うっとりと言われると、心が諦めを捨て切れずに縋り付く。なぁどうして私を抱くんだ。その一言が聞けたらどれだけ良いか、眠りを知らない天使は、愛してるからだよと甘やかしてくれる彼の夢すら見る事を許されない。

誘ったのは確かに自分であったけれどもと、一抹の後悔を抱きながらも、それでもこの想いを告げて関係が壊れてしまうのに比べたら、可愛いと言って弄んでくれる今の方が良いとすら思ってしまう。

きりきりと痛む心とは裏腹に、身体は今日も快楽を求めて腕を伸ばした。