終わらない恋になれ


昔から、どうも言葉の裏を読むという行為が不得意ど、異性に対して強く出る事が出来なかった。
「嫌」とか「駄目」とかの類の事を言われるとそれ以上先へと進めず、口付けどころか手を繋ぐ事すら。恥ずかしがって一歩逃げられただけでそれ以上深追い出来なくなると言えば、俺の押しの弱さを解って頂けるだろうか。

要するに、とんでもなく奥手だったのだ。

こんな様子では一生異性と交際するなど不可能であろうと思っていた矢先に天へと召し上げられ、開き直って生涯を清い身体で貫こうとそう覚悟した。

ところが、だ。
召し上げられた天の上で、まさかの出会いが待っていたのだから、人生と言うものは解らない。

此処で出会った大天使ルシフェルは、俺のような単なる人間の一体何を気に入ったのか、一目出会ったその日から、私の可愛いイーノックと甘い声で囁きその白い身体を近付けて、俺を誘惑しはじめたのだ。
これは何の試練なのだと毎夜のように神に祈りを捧げていたあの頃が懐かしい。私もまた、彼に抗い難い魅力を感じていたのだから。


「あっ、イーノック、あ、あ、んっ、そこ!」
「ここ?」
「ん、そこ、気持ち、い…んぁ!あ!」
水音の響くその部分は、俺の放った体液でもうベトベトだ。
召し上げられた時の誓いは何処へやら、あっと言う間にルシフェルに陥落した俺はそれからと言うもの毎日のように彼を求めて欲の限りにまぐわった。

ともすれば淫売のようにすら聞こえる明け透けな物言いと態度は、俺にとっては至上の救いであり、また赦しでもあった。触れても良いのだと、求めても良いのだと調子に乗ってしまう俺の、その全てを優しく受け入れてくれる彼に、今では完全に参っている。もうルシフェルの居ない暮らしなど考えられない。

「ルシフェル、ルシフェル愛している。」
「ふっ…へへ、私、も、だよ。んっ…!あ、イーノック。好き、っ!」

願わくば、いや、彼と俺自身に誓おう。
この恋に、決して終わりは来させないと。