きっと夢中にさせるから


部屋の扉を開けるとその途端、眩しい程に真っ白な肌が俺の目に飛び込んで来て、思わず体の熱が急上昇するのが解った。
「え、あ…。」
少し遅れて俺に気付いたらしいルシフェルも、釣られたのか顔まで真っ赤にさせると、手に持っていた布を慌てて引き寄せ身体を隠す。
どうやら風呂上がりらしく、髪の先から透明な雫を滴らせて、香油のとろけるような薫りが湯気と共に立ち上っていた。

それ以上ルシフェルを見ている事が出来ずに思わず手で口元を隠すと、狼狽えたような声が飛んでくる。
「な、何だその反応は。私の裸などもう見飽きる程見ただろうが。」
人間だった頃から始まった関係は昇天した後も終わる事は無く、ルシフェルの言うとおり、何度もその肌は見たし触れたし舐めた。もう彼の身体で俺の知らない、俺を知らない場所なんて無いと言って良いだろう。けれど。

「仕方ないだろう。貴方が好きなんだから。」
白くて甘くて気持ちが良くて、初めて触れた時からこんな最高傑作が存在して良いのかと驚いたのに、触れる度にますます俺好みに変わっていくような気がする。
そんな、ルシフェルの肌を見て。平常心で居られる筈が無い。

足を踏み出し近付いて、俺より少しだけ高い位置にある唇に触れてから額を伝う水滴を指で拭った。

「…風呂に、入って来るから。」
「ん。…待ってるから、早くしろ。」

何度でも惚れ直す貴方の一面を、また俺のものにしたいから。