暴いておやりよ


「ルシフェルの服はどうなってるんだ?」
暁の大天使は、未来からの叡知だとかいう向こう側が見える服がいたくお気に入りで、雪の降りしきる中であろうが灼熱の太陽が照らす大地であろうがそのスタイルを崩す事は無かった。
「糸が透明なのか?」
そしてそんなお気に入りの服を、許可も得ずに掴み不躾に眺め回すのを許されているのなんて、一人しか居ない。

「ふふ、そんなに不思議なのか?」
「ああ、未来の人間の考える事はよく解らない。」
匂いを嗅いだり、引っ張ったり、手のひら全体で撫でてみたり。まるで子供のような無邪気さで這い回るイーノックの皮膚に次第にくすぐったさ以外のものを感じ始めて焦りが生まれる。

「服を見たいんじゃなかったのか。」
「うん。」
何だこの手はと言いながら払ったそれは、今では明らかにルシフェル自身に向かって伸びており、生返事をしていた唇は別の作業にどうやら忙しいようだ。
尖った舌先がシャツ越しに胸を辿ると、快楽を覚え込まされた身体は敏感にそれを感じてよく知った悦びを求め始める。

「え、ちょ、待てっ…!」
視線を下げると丁度歯でボタンを外した所で、もう触るなと少し怒ったら、本当に良いのかと真顔で問い返されて言葉に詰まったのがまたルシフェルを苛立たせた。
こんな風に育てた覚えは無いのに、余計な事ばかり覚えているし聞かなくて良い事ばかり聞いている。

悔しくなり、自分からその逞しい身体を抱き締めキスをすれば直ぐに返事は飛んできて、熱くぬめった舌を舌で味わいながらルシフェルはその服だけでなく全てをイーノックに暴かせることにした。