来ても良い頃だろ来いよモテ期−R


ルシフェルの事が好き過ぎて辛い。

仕事の最中にも関わらず、はぁ、と息を吐いて見つめる先には一枚のしおり。
そのしおりには、まるで押し花のようにして一枚の美しい羽毛が挟まれている。誰の羽根なのかは言うまでも無いだろう、俺の愛しのルシフェルのものだ。

一般的に俺達の関係は恋人…と言うもので間違い無い筈だ。
する事しといて煮え切らない態度であると言うのは重々承知である。しかしルシフェルを信じていない訳では無いが、本当にあの至高の大天使が人間である俺なんかの恋人で良いのだろうと、未だに考えてしまうのも仕方ないだろう。
立場としてなら向こうの方がずっと上だし、あの美しく気高く愛らしい天使を好きにならない奴など居るものか。ああルシフェル、俺の大天使。願わくばその美しい身体と魂が俺以外の誰の目にも触れぬよう、ずっと閉じ込めてしまいたい。

それなのに彼は「お前の為なら何でもしてやる。」だの「好きにして良いんだぞ。」だのと人を煽るような言葉ばかり述べてくる。
そんな事を言われては俺の身が持たない、と言うかどこまで本気なのか解らない。
相手は天使だから、人間である俺の抱く醜い欲をちゃんと理解していないのだろうなと言うのは解っているのだが、それで俺の想いが落ち着く訳も無く。日々その想いは募りに募って俺の身を焦がす。

大体どうしてあんなに可愛いんだ、幾ら神の最高傑作と言ってもちょっとやりすぎじゃないのか、もし美しさが罪だと言うのなら死刑でも足りない。
触れるだけで小さく震える白い肌は軽く吸い付けば赤く染まって身勝手なマーキングを受け入れ、最中は俺だけしか見えていないと言わんばかりの夢中ぶり乱れぶりにも関わらず、人を煽るような言葉と態度で更に俺を狂わせる。俺しか知らない処女の癖に淫乱で床上手とか駄目だろ反則だろ愛してる結婚してくれ。

ルシフェルの事を考えていると仕事が捗る。とっとと終わらせて一分一秒でも早くルシフェルに会いたいと言う気持ちがそうさせるのだろう、気付けば机の上にあった書類の山は綺麗に無くなっていた。

宙に浮かんばかりの軽い足取りで部屋へと向かい、扉を開ける。
「ルシフェル!?」
するとその瞬間、待ち焦がれていた黒い影に飛び付かれ、思わず間抜けな声を上げた。
ルシフェルにとっては俺が来る事もこの反応も、全て解っている事なのだろうけれど。

「そんなに会いたかったのか?」
少しくらい図に乗っても良いかなと、そんな事を言いながら彼を抱き締めた。けれど俺の余裕ぶった態度なんか彼にはお見通しで、素直に頷かれてしまうとそれ以上気取る事なんて出来やしない。
「俺も、ずっとルシフェルの事ばかり考えていた。」

ああでも、大丈夫だ問題無い。俺が彼を愛していて、彼が俺を愛している事さえ解っていれば、他は全部些末な事だ。