Debris


げんなりとしてゴミ箱にティッシュを捨てた。最低だ。最低だこんな……。

ジーンズのファスナーを上げる事すら忘れてその場に突っ伏した。
若さ故の、と言うのは誰にでもあるだろうが、自分の親戚、しかも男をオカズにするなんて真似をした人間はそうそう居ないだろう。居たら是非名乗り出て欲しい、君とは親友になれそうだ。

罪悪感と虚無感に浸りながら、そもそもこうなった原因であるそれに目を向けた。
視線の先にあるのは、ルシフェルのジーンズ。洗濯をした後、畳んで積んであったものを自分のと間違えて持ってきてしまったものだ。あくまでも間違えただけである、持って来たこと自体はわざとではない。

ジーンズ如きで何を、と思うことだろう。普通は。だがルシフェルは何故か下着を着けずにジーンズをはくのだ。つまり、つまりだ。ジーンズとは彼にとって半分下着のようなものなのだ。好きな相手の下着を見て興奮しない奴は居ないだろう。だから俺は悪くないごめんなさい。
脳内でぐるぐると一通り言い訳をしてから大きく溜め息を吐き、漸く間抜けな格好になっている服を正した。

明日からどうしよう。このジーンズをはいたルシフェルを真っ直ぐ見ることが出来ない気がする。って言うか頼むから下着を着けてくれ。
願わくば少しでもその時が遠くなりますようにと祈ったが、祈りも虚しく翌日さっそくそのジーンズをはいたルシフェルと出くわし、挙動不審になる自分を必死に誤魔化した。