来ても良い頃だろ来いよモテ期


イーノックの事が好き過ぎて辛い。

念願叶い恋人同士になったのにも関わらず恋慕は募るばかりで、微笑まれれば顔が赤らみ指先が触れれば胸は高なる。
何度抱いて貰っても慣れる事は無く、その技巧の一つ一つに大袈裟な位反応してしまう。
こんな筈じゃ無かったのに。

本当なら完全無欠な私の美しさにめろめろになるのはイーノックの筈だ。自分で言うのもなんだが私は神の最高傑作だぞ、そんな私が好き好き愛してるお前の為なら何でもするとかこれだけ言ってるのにアイツは欠片も余裕を崩さず微笑んでいる。

自分ばっかりこんなに好きなのは悔しい。けれど、イーノックが気持ちを返してくれるだけで飛び上がる程嬉しいなんて。もう末期だとしか言い様が無い。
と言うかどうしてあんなに格好良いんだ馬鹿!男前!絶倫!テクニシャン!好き!!

そんな事を考えていたら、イーノックに会いたくて会いたくて奮えて居ても立ってもいられなくなってきた。仕事はそろそろ終わる時間の筈だ、よし行こう。
そう思ってベッドから起き上がると、部屋の扉が開き仕事が終わったばかりの奴が入って来た。その姿を確認するや否や、頭よりも先に身体が反応し、勢いよく駆け寄って抱きつく。

「ルシフェル!?」
無言でその厚い胸板にぎゅうぎゅうと顔を押し付けて体臭を嗅いでいると、頭上で苦笑するのが解った。
「そんなに会いたかったのか?」
耳元で囁く声は甘く、ずしりと直接腰に響いて脚が震える。声を出さずに頷けば、そっと頬に掌が触れて愛しげに撫でられた。

「俺も、ずっとルシフェルの事ばかり考えていた。」

ああもう、これだから益々好きになる。