不器用


「ん…ふ…。」
じゅるり、と卑猥な水音をさせながら、ルシフェルは目の前にそそり立つイーノックの大きな性器を啜る。
「今日は私が全部してやる。」などと意気込んだは良いが、咥えている最中に歯を当てて痛がらせてしまったり、結局自分の服を脱がせて貰ったりと、あまり彼に奉仕出来ていない気がする。と、先端の穴を抉るように舌で突きながらルシフェルは思った。
実際の所、イーノックは愛しい天使が積極的に迫り、あまつさえ自分のモノを舐めてくれていると言う喜びで感動に浸っていたのだが、やる気に溢れたルシフェルはそんなことには全く気付いていない。

「ルシフェル…もう…。」
自らの限界の訪れに、イーノックが情けない声を出しながら艶やかな髪を掴む。すると、ルシフェルは漸く上目遣いに愛しい男の顔を見た。
「っ…あ!」
焦ったような喘ぎと共に飛び散ったのは白濁。
それは、直前までイーノックのモノを咥えていたルシフェルの顔面にべっとりと降り掛かった。

何が起こったのか解らないと言った風にきょとんと目を瞬かせるルシフェルに、イーノックは慌てて手を差し伸べる。
「す、済まない大丈夫か!?」
ルシフェルは自らの頬に手を当て、指先に付着した精液を見ると、ニヤリと笑って唇を舐めた。

「大丈夫だ、問題無い。次はもっと上手くやるさ。」

その表情にイーノックはごくりと喉を鳴らし、指を舐めるルシフェルの腰に手を回す。

夜はまだまだこれからだ。