一言請とひ


じゅる、と液体を啜る音が狭い室内に響き、その直後にくぐもった声が途切れ途切れに続いて啼く。

ベッドに浅く腰掛けたイーノックは、両手を後ろに着き自分の足下を冷たい視線で見つめていた。
床にはルシフェルが跪き、イーノックの足の間で必死に頭を動かしている。

「ん…ふぅ。」
「上手いものだな。っ、今までこうやって何人咥え込んで来たんだ?」
「ち、違っ…イーノックだけっ「誰が口を離して良いと言った?」
静かな命令に慌てて奉仕を続けながらも、その赤い瞳で上目遣い見上げ懇願すると、イーノックは目元を和らげて一度だけ黒い髪を撫でた。
たったそれだけの事に、ルシフェルはまたジーンズの前を膨らませる。釦を締めたままのそこは窮屈さを増し、痛みと共にじわりと快楽が訪れた。

イーノックのそれは身体に見合って逞しく、完全に勃ち上がれば喉まで使っても全部はとても咥えられない。下から上に舐め、先端を吸い、舌で転がす。脈打つ雄は益々固さを増し、先端からは先走りの液体が滲んだ。
ルシフェルはもじもじと硬いデニム生地を擦り合わせて快感に耐えようとするが、それを見たイーノックは静かに言葉を紡ぎルシフェルを追い詰める。

「貴方のこんな姿を、神や他の天使が見たら何て言うだろうな?」
「…っ。」
「天使長ともあろう貴方が、人間如きに欲情して、挙げ句の果てに抱いて欲しいからと自ら奉仕しているだなんて。」
「ん、ん…!」

「淫乱。」
耳元で低くそう囁かれると、遂にルシフェルは声にならない声を上げ、大きく震えてそのジーンズに染みを作った。


「まだ脱いでもいないのに、はしたない大天使様だ。」

はぁはぁと荒く息を吐くルシフェルの口はイーノックの性器から離れ、その先端との間に唾液とも先走りともつかない白い糸を繋げていた。
潤んだ瞳で見上げると、底の見えない碧が目の前で歪んでいる。

「お仕置きが必要だな。」
その言葉を聞いたルシフェルは、嬉しそうに顔を赤らめ微笑んだ。