考察に妄想混じったカオスなもの。今更だけどばばっと書き出したくなった。
無駄に長い。そしてあくまで私個人の解釈である事をご了承願います。途中だんだんワケわからなくなってきてだいぶ適当なところがあるけどスルーしてやってください。

【01.ヴィクトル分史のユリウス】
弟の手によって殺されていた、ヴィクトル分史のユリウス。PTメンバーの遺体(ガイアスは撤退、ミラミュゼはどうしたんだろう? 精霊界に帰ってたのかな?)はウプサーラ湖から見付かっているけど、同じ時に殺されているであろうユリウスとビズリーの遺体が見付かっているような話は聞けない。
まさか細切れに……? なんて恐ろしい事を考えかけたけど、よくよく考えたらこの二人には遺体を残さない消滅方法があった。
ヴィクトルがエルを守るために湖を血に染めたあの事件は、ガイアスが致命傷を負い、撤退するほど(もしかしたらユリウスエンドの戦闘同様、ガイアスが最後の相手だったのかも)の激戦。ビズリーやユリウスが骸殻を使わずに戦うとは考えにくくて、その二人は時歪の因子化で消滅したから遺体が見付からなかったのかなと考えた。

ただ、“最後まで間に立ってくれたが、結局は兄として俺の身を案じていただけだった”とヴィクトルが語っている事から、仮にユリウスが骸殻を使ったとしても、その刃はルドガーへは向けてはいなかったのかもしれない。
寧ろ、ビズリーやジュード達と戦うルドガーを止める為に骸殻を使って(使わなきゃとても骸殻を纏ったルドガーなんて止められないだろうし)互いの攻撃を阻止したりと中途半端な位置にいたために「兄さんはどっちの味方なんだ!」とか問われて「俺は……」と戸惑っているうちに「完全に味方してくれないなら敵とみなす」となってしまい、ルドガーに貫かれ、時計を落として湖へ。そのまま湖底で時歪の因子化して消えてしまったのかな、とか。
でもその前にヴィクトルが“うん。最高の兄さんだったよ。あんなことを言い出すまでは”と言ってる。
あんなこと。
「子どもは、また生めばいい」というのに似た意味の言葉を、ルドガーが大切なあまり口にしてしまったのかもしれない。ヴィクトル分史のユリウスも、正史ユリウスと同様“大切なら何にかえても守り抜く”という人だったなら、“エル”を利用すれば“ルドガー”が助かるかも、という状況に心が揺らぎかけてしまったのかもしれない。
けどそのエルはルドガーの大切な家族で、大切な娘。
ヴィクトル分史ユリウスの葛藤に伴った苦しさは、たぶん、計り知れない。

ゲームに例えるなら
L1「ジュード達の方につき、ルドガーと戦う」 R1「ルドガーの方につき、ジュード達と戦う」
という時限式の選択肢が現れて、カチコチカチコチとタイムリミットが迫り、けどどうしても選べなくて、結果、ルドガーにL1の方だと見なされて殺められてしまったのかな。先に決別の覚悟を決めたのはヴィクトルの方だった、と書かれていたし。
だとすると、どこかにユリウスが生み出した分史世界があったのかも? ひょっとしたらクドラクで感知されて、パパが直接破壊しに行った可能性もなくは……ない?
パパも正史ルドガーと同じように、“ユリウス”が生み出した世界で“ユリウス”を殺すという経験をしていたら……と思うと。

妄想するだけならいいじゃないか、タダだし。


【02.列車テロ〜次元の裂けた丘までのユリウスの行動】
この間の情報がなさすぎて「兄さんどこで何やってるの!」状態。発売前からユリウスが好きで仕方なかったから、兄さんの事が気になりすぎて借金の返済期間がひたすらもどかしかった記憶が。
閑話休題。
テロの時、列車分史に進入したのはルドガー・ルル・エル・ジュードだけ。(他のキャラはその場に残されるような演出だったし……)その三人+一匹がその場から消えた後、ユリウスとビズリー、ヴェルはアスコルドに突っ込む気満々のストリボルグ号で何をしていたのかなとふと疑問に思うも状況を想像させる材料が何にも! ない!
ユリウスが乗車していたのはヴェルの口封じをする為だったけど、もうそれは意味がない。だったらもう、自分の手で審判に決着をつけてルドガーを救うしか方法がない。そのためにはまずは生き残らなくてはならないし、当然、こんなところで列車の衝突に巻き込まれて死ぬワケにはいかない。
加速してかなりのスピードで走行する列車から脱出する手段って、二つくらいしかないと思った。
・分史世界へ進入して衝突を回避

・空だって飛べる気がする(要するに骸殻纏って窓からflying)
ビズリーはヴェルと脱出したんだろうけど(方法は置いといて)兄さんはどうしたんだろう?
分史世界は座標を知らないと進入出来ないんだろうけど、予め適当な分史世界の座標をGHSに記録してた可能性もなくはないのかな。後者の場合は衝突寸前に骸殻発動してギリギリで脱出、爆風と混乱に紛れて行方を眩ましたりした?
何にせよ、ルドガー達が消えた後の先頭車両の空気を想像すると……。

その後、濡れ衣着せられて警察に指名手配され追われる身となったユリウスと次に会えるのは、マクスウェルの次元刀が入手出来る分史世界。
座標をいつ知ったのか? ユリウスにGHSによる追跡は無意味だと言われていたけど、なら逆にルドガーの居場所を探知する事は出来たとか?(イ○ドコサーチ……みたいな)ユリウスがルドガー達より先に進入していたのかが分からないから、なんとも言えないけど。
とりあえず、アスコルドのナスのプランターを見て思わず青ざめてたらかわいい。


【03.ユリウスとクロノス】
チャプター7の時点で、既に一度は遭遇しているかのようだった二人(……人?)。ユリウスにとってクロノスは母・コーネリアの死に関わる因縁の相手でもあるけど、果たしてユリウスはそれを知っていたのか。
ビズリーから話されていた可能性もあるし、クロノスがユリウスと対峙した際にもしかしたらコーネリアの面影を感じ取って(こっちを見据える目が似ている、とかだとイイなとか)ふん、鍵と同じような目をする……とかクロノスが言って、ユリウスがまさか、ってなるパターンでもどっちでもいいや。

ルドガーの時計がないとハーフまでしか発動出来ないのに、ユリウスは単身クロノスと戦い続けてたんだなって思うと、どうしてもリーゼ港でクロノスにポイっとされたあの直後に「地面とユリウスの間にスライディングで滑り込んでキャッチする」という選択肢が欲しくなる。何周しても出ないんだけどバグですか。
クロノスと戦う目的も、最初は「審判を超えるために邪魔をするクロノスを退ける」だったんだろうけど、中盤からはルドガーの邪魔をされないように囮になっていたのかな。キジルでルドガーの決意を見て橋架ける覚悟決めて、審判を超えてくれると信じてせめて邪魔をするクロノスを遠ざけよう、とか思ってたのかな。

「させるか!」の後、クロノスと交戦してどうにか退けるなり逃れるなりして、タイム・エセンティアの攻略法を見出したユリウスが傷付いた体で懐中時計に“時を巻き戻す針は、お前の槍でとめろ”って刻んでいるところを想像しただけでクロノス域に今すぐ沈めそうな勢いで轟沈する。


【04.ユリウスとエル】
エルにとってユリウスはどんな人だったのか。
ルドガーとは“アイボー”の自分よりもずっと長く“キョーダイ”として一緒にいて、自分が知らないルドガーの事もたくさん知っている。それに時々妬いちゃってたりしたらかわいい。ユリウスがもしパーティに入っていたら、この二人の間でそんなチャットも見られたのかも。見たかった。
チャプター10で「優しいんだね、メガネのおじさんも」って言っているから、色々ありはしたけど(時計絡みでちょっと言い合ったり)“アイボー”のルドガーみたいに優しい人なんだな、って思っていてくれたのかな。

一方、ユリウスにとってのエルはというと。
序盤の序盤は“居合わせた子供”くらいにしか思っていなかったかもしれないけど(ビズリーを守る選択をするとアルクノアの銃撃から庇って怪我するし。直後興味本位でこっち選んだ事を死ぬほど後悔した)チャプター7でユリウスはエルに対して、一瞬殺気を放ってる。“ルドガーをクルスニクの宿命に巻き込んだのはエルだ”と気付いて、二十も下の幼い少女だろうと、関係なく。剣だって抜きかねなかった。
でも話が進むにつれて、自分にとってのルドガーという存在はルドガーにとってのエルなんだって分かって、ルドガーに自分を、エルにルドガーを重ねたユリウスは、出来る事をしようと橋を架ける覚悟を決める。
ルドガーがエルを守る=ユリウスがルドガーを守る、という事になるから。

「大切なら守り抜け 何にかえても!」というユリウスの言葉がエルに聞こえていたなら、エル/ルドガーエンドルートで、ルドガーがユリウスを犠牲にした事は悲しいけど兄の命にかえても自分を守りに来てくれたルドガーに抱き締められて嬉しかったはず。
それはユリウスエンドで、すべて無駄になってしまったけど何にかえても自分を守ってくれたルドガーに支えられて嬉しいと(ユリウスエンドに関しては後述)思ってしまったユリウスと鏡合わせになるのかな? って思う。
エルとユリウス、二人がルドガーを守り抜いたらルドガーエンドになってしまうけど、「ルドガーが消えちゃいやだ」というエルの願いと「お前はお前の世界を作るんだ」というユリウスの願いが同時に叶えられるのは、このエンディングだけ。そういう意味では、ルドガーエンド後の行方も結構気になる。
もしかしたら二人は、オリジンの消去が適用されなかった(かもしれない)最後の分史世界から、そっと見守ってくれているのかも。


【05.ユリウスとリドウ】
エージェントコンビって同僚という言葉で済ませるにはあまりに複雑で、ライバルと言うには張り合う理由が重すぎて、知人と言うのはちょっと違うし……と悩んでたら某方から「隣人」と言うアンサーをいただきました。絶妙。納得です。
「自分の方が使える」という事を証明しないと「橋」にされる。「生き残る」為には「役に立つ」と示さなきゃいけない……それが骸殻を発動し分史を探索して少しでも手がかりを探すって事なら、生き残る為に死に向かわなきゃならない。でもそうする他に道がない。クルスニクの宿命が齎した理不尽の中で、ユリウスとリドウは運命と必死に戦ってたのかな。

どうしてもこの二人はシリアスな絡みと同じくらい若干ギャグ混じりの絡みを想像してしまって(主に顔踏みのせい)発売前なんかは、社内でもくっだらない事でいがみ合ってるんだろうなーとかそんな事を考えてた。食堂の席取り対決とか、子供の頃は会議中に消しゴムのカス投げ合って睨み合ってたのかなとか。我ながらバカっぽい。

ユリウスとリドウが最後に会ったのっていつなんだろう、って時々プレイした時に思う。まさかチャプター7が最後なんて事はないだろうし(俺の顔を踏んでどこか満足気に逃走していく後ろ姿。それが俺の見た奴の最後の姿だった――とかだったらちょっと切なすぎる色々な意味で)チャプター13までユリウスはあちこち行っててトリグラフにも戻ってきているから(ニャンスタンティンクエ)リドウと一回くらいは出くわしててもいいんじゃないかなぁ、と。
ただ、遭遇するとしたらドヴォールのような気もする。ユリウスもトリグラフよりは身を隠しやすいだろうし、リドウはバー・プリボーイによく行ってそうだし。二人は良くも悪くも目立つから、裏路地の薄暗い闇の中でばったり出くわすパターンを希望。瞬時に武器突き付けあって睨み合ってたら尚更。

ユリウスの闇はリドウだけが知っている。
リドウの闇はユリウスだけが知っている。
……だといいな。そんなエージェントコンビが愛しい。

【06.ユリウスとビズリー】
「戯れはやめてください、社長」からの「……当然だろう!」の流れがもう好きで好きで仕方ない。感情を露にするユリウスの格好よさは異常。(特に理由のないバク転も含む)

このシーンは、ユリウスとビズリーが“社員と社長”という関係から“息子と父親”に戻った瞬間だと思ってる。だからこそ堪らない。一族の宿命、魂の橋の事を知って父のもとを離れ暮らし始めたユリウスは、ビズリーの事を『他人』だと認識し今の今まで“社員と社長”という関係でいるつもりだった。あの男はもう家族なんかじゃない。父親でもない。だからビズリーと同じ苗字“バクー”を捨てて“クルスニク”を名乗り始めた。
それが突如ひっくり返って“息子と父親”になる。だからこそ刃を向けたんじゃないかと考えてる。ルドガーの前だろうとお構いなく何度も切りかかって、骸殻まで発動しようとした。“父親”に“息子”が利用される。自分のみならずルドガーまで巻き込もうとしているビズリーをどうにか排除しなくてはと思って、“社長”ではなく“父親”に反逆した……のかな、とか。
チャプター7終盤に「時に、父と子が」というユリウスの台詞があるから余計にそう思ってしまう。ビズリーとの関係をずっと『他人』(=社員と社長)だと思っていたなら、こんな言葉は出ないはずなんじゃないかと思った。(本とかの伝承にそうあったから引用しただけなのかもしれないけど、そこは個人的な願望なので……うん)

「あの数だけ……この拳で、お前たちをっ!」というビズリーの台詞。あの数=999,999番目の時歪の因子となり犠牲となったユリウスも含まれてる。
“クランスピア社の社長、クルスニク一族当主のビズリー”としてではなく、ただの“ビズリー”という一人の男の、ちっぽけで個人的な願い。それはもし叶ったとしても、世界の為にも人間の未来の為にもならない。けど、ビズリー自身が長年抱え続け決して表に出さなかった……審判を越えるために“非情さ”で押し込めていた感情が、これでもかってくらいに籠められてる。
ユリウスが、そんなビズリーを見ていたらなんと思うだろう? と考えた事もあったけど、今更、拗れた関係が元通りになるわけでも(そもそも死んでるからどうしようもないけど)ユリウスの中でビズリーの認識が変わるわけでもなさそう。
ただ、ユリウスに“精霊道具化ではなく、一人の男としての願いをビズリーは持っていた”という事が伝われば、私はとりあえず満足です。


【07.分史世界No.F423F(仮定)】
時歪の因子化したユリウスが生み出した、最期の幻の世界。
“こんな世界を願った”と書かれている事から、ユリウスの願いが適用されている世界である事に間違いはないんだろうけどその“ユリウスの願い”って何なのか。ルドガーがただ笑っていられる世界? それとも兄弟で平穏に暮らしていられる世界?

ここで、「前は悪かったな、ルドガー。今度こそ……本気の試験だ」と、正史ユリウスが言っていた事を思い出す。この“本気の試験”って、いつまで続いていたのか。始まりはもちろんあの戦いからだろうけど、いつ終わっていつ合格だと認めてくれたのか。
ファイティングチャットで「認めるよ、ルドガー! お前はもう、自分ですべてを選べる!」って言ってくれてはいるけど、それは「本気の試験を受ける覚悟」を認めてくれただけで、まだ合格ってワケじゃない。

この世界にはジュードやミラのみならず、リドウやビズリーまで存在してる。だけど、一人だけ、どこを探してもいない。キャラ達の話にさえその存在を感じさせないから、別の街にいるとかそんなんじゃなくて、本当に存在していない。
“エル”は存在していないのに“そして彼は知っています。ルドガーが「この世界にないもの」を救おうとしていることを”と設定資料集には書かれてるし、「もう行け。守ってやりたい子がいるんだろ?」と分史ユリウス自身が言ってる。つまりこの世界のユリウスは、魂は“正史世界のユリウス”と同一のものなんじゃないかなと。でないとエルを知っているはずがない。
リーゼ港でスリークォーターを発動したルドガーの秘奥義に打ち負けて満足気に目を閉じたユリウス。その魂は、失われる肉体を離れて自身が生み出した分史世界へ。生成直後、というのもあるんだろうけど、時歪の因子となったユリウスは正史世界での自分と同じ姿となって、正史ルドガーが来るのを待っていた。(もしかしたらその気になれば性別反転やらかしたりオカマとかにもなれ***記録抹消***)

“エル”をこの世界に存在させなかったのは時系列的に厳しいと言われてしまえばそれまでなんだけど、『まだ本気の試験は続いてた』と勝手に捉えてる。
お前が守りたいあの子はここにはいない。いないけど、この世界はこんなにも平和だ。でもあの子を守りたいなら、壊して進め。時歪の因子である俺を刺し貫いて、橋を架けるんだ。
合格だよと認めてやって、決して答え合わせは出来ない、してやれない『お前の世界を作るんだ』という課題を出した。

最期に『平穏なあの頃に帰りたかった』のも、あるんだろうけど。


【08.証の歌】
作中では三回(ちょっとだけなのも入れると四回だけど)聞ける、ユリウスの証の歌。サビ(?)の部分を聞くにはユリウス戦BGM「互いの証のために」や、ルドガー消滅後のBGM「選択の証」を聞くしかないのがなんとも。これら聞くと切なくなる。
キジルで「会いたくて仕方がない相手への想いがこめられた歌」と言っていたけど、それってつまりユリウスはルドガーに会いたくて仕方がなかった、と捉えていいんだよね。「本当に、会いたい相手が来た」なんてものすごく優しい目と声色で言ってくるくらいだし。

ユリウスは証の歌を生まれつき知っていた……ワケないだろうし、コーネリアが機嫌のいい時にハミングしていたのを聞いて覚えたのかな。
ビズリーが夜遅くなったりしてなかなか帰って来ない日に、コーネリアがユリウスを寝かしながらハミングしていたら
「その歌、いつも歌ってくれるけど、なんて歌?」
と幼いユリウスが聞いてきて、
「会いたくて仕方がない相手への想いがこめられた歌なのよ、ユリウス。……今は、子守唄として歌っているけど」
という感じでコーネリアが返していたらいいなとか妄想。(ホントは帰りの遅いビズリーに向けて歌っているという意味もあるけど)
クラウディア以上に情報がないコーネリアは口調まで捏造するしかない。公式さん、姉妹の情報ください。

初出勤の朝→機嫌がいい
アルヴィンエピ2→機嫌がいい
キジル→ルドガーへの想いをこめて
って事なんだろうけど、チャプター15のユリウス分史では証の歌を歌った時どういう心情だったのか?
思い返すと、キジルでユリウスは一つ、嘘を吐いてる。「赤ん坊の頃から、これを歌ってやるとすぐに泣き止んだ」……二人の間に存在しない年月、ユリウスが知らないルドガーの五年間の中で、ルドガーはクラウディアの証の歌を聞いて泣き止んでいた。そうあって欲しかった記憶だった。故意ではないにせよ、自分のせいでルドガーは母親との記憶が欠落してる。だから、お前はこれを聞くと……と、不安がる幼いルドガーをそっと抱き締めてやりながら言ってやった日があったのかもしれない。

ユリウスを槍で刺し貫くその瞬間まで、ルドガーはずっと辛そうな表情をしてる。ユリウスが証の歌を歌い始めた後は、一瞬泣きそうになっているようにも見える。
だからこそ、貫かれ血が溢れ出て激痛に襲われても、ユリウスは世界が砕け散る寸前、自分の命が果てるまで、あんなに穏やかな表情で歌い続けた。
ほら、泣くんじゃない。せっかく子供じゃないと認めてやったんだ、振り返らずに行け。道は、俺が作るから。
きっとそんな心情だった、と思いたい。


【09.ユリウスエンディング】
全てを捨てて兄を選んだルドガーと、弟に守られたユリウスが迎える一つの結末。
ヴィクトル分史同様、先にジュード達との決別を決めたのはルドガー。時計を抜き取ってスリークォーターを発動し、仲間として共にいた人たちに容赦なく襲いかかる。
ユリウスを犠牲にしようとしたガイアスのみならず、戸惑っていたレイアやエリーゼにも、一切。
そんな、とんでもない事を始めてしまったルドガーを前にして、ユリウスは「なんてことを……」と、たった一言呟くだけ。
八人を手にかけようとするルドガーを、時歪の因子化に伴う痛みで止めようにも止められなかったのか。それとも、止めたくなかったのか。まさかこんな事になるとは予測できなくて、呆然としてしまったのか。
すべてがあり得そうで、でも、ムービー中にルドガーの肩に寄り掛かったユリウスは、
「俺の望んだ世界……か」
と、ぽつりとこぼしてる。
“ユリウスの望んだ世界”はエル/ルドガーエンドルートに行けば見られるけど、こっちのルートで得た“ルドガーとの世界”もきっとまた、ユリウスの望んだ世界。
俺なんかのために、ルドガーはすべてを捨てた。やってきた事は全部無駄になってしまった。けどこれで、たとえ残された時間が少なくても、一分一秒でも、ルドガーと一緒に居られる。
微笑んだルドガーを見てユリウスがああ言ったのは、心の片隅で血に塗れたこの現実を嬉しく思ってしまったからなのか。だから自嘲の意味をこめて「俺の望んだ〜」って言ったのか。

エクシリア2のキャラで個人的に一番人間らしいなって思うのがユリウスで、それを一番強く感じたのがこのシーンだった。
ユリウスだって、一人の人間なんだなぁと。
そんな、完璧なようで完璧になれていない……というかなれなかったユリウスの事が大好きです。

【fin.ユリウスとルドガー】
発表直後からどっちも好きで、ユリウスの紹介動画を見て「あっこの兄弟やばい絶対ハマる」と思っていたのは遠い昔。一日に動画十回くらい見てた。PV4に至ってはTGSの会場にいる間だけでたぶん二十回くらい。
それくらい二人ともツボで、だからこそ次々と立っていく二人の死亡フラグをなんとかへし折れないかと発売前から生存ルートを願ってた けど ね! ユリウスエンドくらいしかない上にそれだってユリウスが危うい。
みんなを助けようとしても必ずどこかで詰むからこそエクシリア2が大好きなんだけど。

七歳のルドガーが作ってくれたトマトソースパスタをきっかけに心情変化したユリウスは「ルドガーの為に生きよう」と決意して、いずれくる消滅の未来も恐れずに一人戦い続けてた。何気ない毎日が幸せで、何気ない会話でも楽しくて、何気ない時間が何よりも大切だった。
だからルドガーが骸殻を発動してしまった時は、本当に、目の前が真っ暗になるような感覚だったんじゃないかと思う。守ってきた平穏が音を立てて崩れてくのがはっきりと聞こえていたかもしれない。
エクシリア2は(無印の頃からだけど)今までのテイルズの作品以上にキャラの表情に力を入れているから、台詞が「……」だったり「!」だったとしてもそのキャラがどういう心情なのかが分かりやすい。その恩恵を一番受けてるのがユリウスだと個人的には思ってて、さっき書いたストリボルグ号でルドガーが骸殻能力に目覚めてしまった後、それを見たユリウスの瞳が揺れてるシーンが特に印象に残ってる。

ルドガーがトマトソースパスタを作って待ってくれていたその日、ユリウスはきっと泣いたんじゃないかと思う。利用するために引き取ったのに、まだ七歳の幼いお前が、火傷しながらこんな俺なんかに料理を作ってくれて、しかも待ってくれていた。荒んだ心にはフルコンボだドン。
それで、大切になった。守りたいと思った。だから何にかえても守り抜いてきた。
ルドガーを守る代償は、ユリウス自身の命だけじゃない。壊してきた分史世界に生きていたものすべてがその対象。もちろんその中にはルドガーもいる。
ルドガーを殺して“ルドガー”を守らなきゃいけない。
ユリウスはそんな辛い経験をしても“ルドガー”がいるマンションフレールの302号室に帰って、朝「いってらっしゃい」って言って自分を見送ってくれたルドガーに「ただいま」って、いつもみたいに言う。
明日その“いつも”がなくなるかもしれないからこそ、ユリウスはルドガーやルルといられる一分一秒を大切にかみしめるように生きていたんだと思う。あの二人+一匹で暮らしていた部屋にはきっと、ぎっしりと思い出が詰まってた。

“お兄ちゃんは幸せだったと思いますか?”

スタッフロール中の大川さんの問い。ひょっとしたらすぐには頷けない人も中にはいるかもしれない。それを見越して、大川さんは敢えて「ユリウスは幸せだった」と断言するんじゃなくて「幸せだったと思いますか?」って問いかける形にしたのかな。
インタビューを読んでても大川さんがユリウスの事をよく考えてくれているのが伝わってきて、キャスティングした方にはGJと言ってトマト一年分渡したいです。

ユリウスは幸せだった、と、思いたい。



これでも結構割愛したんだけど、結局5000文字には収まらなかった……長すぎて自分の事ながらさすがに気持ち悪い。でも好きなんです。

クルスニク兄弟に……幸あれ。(あるソーディアン風に)
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