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「お願い、して」

 呆れたような焦ったような戸惑うような、そんな声色で名前を呼ばれて、けれど私は懇願した。

「……美麗を今度こそ殺してしまいそうで、怖い」
「私、そんな簡単に死んだりしない。ずっと仁さんのそばにいる」
「……」
「して」

 仁さんの手がおそるおそる伸びて、私の肩に触れた。もう一度、どちらからともなくキスをする。
 するりとシャツのボタンに手が回り少しずつ外されていく。肌が外気に触れて思わず身体を震わせると、ぎゅっと抱きしめてくれる。
 キスをしたままブラのホックを外される。仁さんのシャツを掴むと、唇が離れていく。
 そして少し身を起こした仁さんが、シャツを脱ぐ。それを見ながら、もしかして仁さんの裸を見るのは、初めてかもしれない、そう思った。
 そしてそれを素直に伝えると、彼は苦笑いして言った。

「肌が触れ合うと、我慢できなくなるだろ。あれでも、セーブしてたつもりだったんだ」
「あっ」

 言いながら、胸にキスが落ちる。
 仁さんの手つきは優しくて、順序よく手際よく進んでいく。わき腹を撫でながら制服のスカートのファスナーを下ろして、腰を大きな手で浮かせてそれが抜かれてしまう。
 じわじわと、緩やかに、でも確実に仁さんの手の内に落ちていく中で、仁さんの肌の感触が心地よくてぎゅうとくっつけば、勘違いしたのか心配そうな顔で覗き込んでくる。

「痛い?」
「い、たくない……きもちいい」
「っ馬鹿」

 これ以上の幸せと快楽は、頭の容量をきっと軽々と越えてしまう。そんな感じがしたけれど、もちろんやめたいなんてこれっぽちも思わなくて。
 ぼろぼろ涙が零れる。仁さんは、いちいちそれをなだめるように指や舌で拭い取ってくれる。
 大好きな人に、こんなに大事に抱かれているのに、涙が止まらないのはどうしてなんだろう。

「仁さん、すき、好き」
「……美麗」

 名前が、炭酸水みたいにしゅわしゅわと甘く頭の中で弾けていく。そのまま視界がぐらりと揺れて、私は重たい目を閉じた。
 ゆっくり、ゆっくり、意識がゆらゆらと落ちていく。頬に柔らかなものが触れた感触を最後に、私は完全に、眠りに突き落とされてしまった。
 無理をしたせいか、身体は信じられないくらい重くて疲れていたけれど、気持ちはこれ以上ないくらいに穏やかで、月が満ちるようにはちきれそうだった。

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