コミティア128

 標記の件につきまして、今回わたしのスペースはありませんが、アンソロジーに参加させていただきましたので、お知らせをします。
 5/12(日)東京ビッグサイト青海展示棟にて開催されますコミティア128で、有翼人アンソロジー「プテリュクス」発行です!
 お求めになれるスペースは【G33a】ヲンブルペコネ様です。そこにわたしはいませんが、落山羊さんというサークル主さんが座っておられるはずです。

 というわけで、一足早く「プテリュクス」を手に入れたわたしが、僭越ながらそれぞれの作品紹介をしたいと思います!
 以下敬称略、あらすじは引用となります。


▼Ángel1892(八束)
 あらすじ:傾きかけた軍事政権の支配する国、暗黒街のクラブでドラァグ・クイーンとして活躍するノヴィアを、彼女の少年時代を知る「先生」が尋ねる。先生は彼女に対し、寄宿舎学校での思い出を語ってほしいと頼むが――
 感想:繊細かつ大胆な筆致で描かれる、現在に続く過去の出来事が鮮やかでありながらもなんとなく薄暗い空気感に、どんなふうに展開していくんだ……とページをはやくめくりたい気持ちとめくるのが怖い気持ちがせめぎ合います。「天使」についての記述がとてもうつくしく、また最後のページが、あまりにも静かで、それでいて「ああ…ああ〜…」って感じで(ネタバレになるので…)。湿ったいびつな空気を楽しみたい方にぜひおすすめです。

▼アンリエットに言伝(梶つかさ)
 あらすじ:描くべきものを見失い、自分を変えてくれるような「運命」を求めるハンナ。祖母の遺言に従い訪れた辺境の街で、彼女は不老の娘アンリエットに出会う。
 感想:自分探しの旅に出たらうっかり自分を見失った話(違うぞ)。作中でたびたび語られる「自由」について、すごく考えてみました。枠やしがらみ、自由や解放の話だと思います。後半にかけての事実が明るみに出てゆく流れが、すごくつらくてですね……。結局何者にもなれないままのハンナだけど、うん、いいんだよ、って言いたくなるさわやかな読後感です。

▼翼女伝奇(跳世ひつじ)
 あらすじ:星を司る孤独な獣は、ある日矢をうけ、地上へと墜落してしまう。時を同じくして、幼い娘は野原に倒れる美貌のおんなを見つける。おんなの背中に突き立った、一本の矢。娘の父は、その矢は己が射かけたものだというが――?
 感想:魅惑のけもの……いいね……(語彙の消失)。わたしには絶対に書けないし書こうとそもそも思い立たない世界観がすごく好きなんですよ。わたしのお気に入りのシーンは、物語半ばの、娘の兄と獣が歩いていて野うさぎをどうこうするシーンですね。ぜひ読んでたしかめてください。

▼林檎の苗床(宮崎笑子)
 あらすじ:ひと月前、淫魔を拾った。それもまるでダメな落ちこぼれ淫魔だ。燃費が悪くてすぐに俺の精力を食べたがる淫魔にちょっとうんざりしている。そんな、俺と淫魔の奇妙な同居生活は、ある日を境に崩れ落ちる……。
 感想:感想も何もわたしが書いたんだよな(大の字)。あらすじ通り、落ちこぼれダメ淫魔とダメ大学生が、懇ろになりながらもちょっぴり不穏な感じのラブコメです。主宰には「エロホラー」って言われましたが、ホラー要素はありません。エロ要素もありま……事後。

▼そして春は去ってゆく(捺)
 あらすじ:私は人間の持つ可能性を、翼の形で見ることができる。漫画家として芽が出ずにくすぶっていたときに、美しい翼を持つ女性ボーカルに出会う。彼女の可能性が辿り着く先を知りたいと願ってしまい――。
 感想:この話は百合じゃないですよ(ここ重要)。ふたりがルームシェアをする部屋、マジもんのボロアパートって感じの描写が大好きです。読み終えた直後は、なんとなく「残酷な話だよなあ」って思っちゃうんですけど、実質この話、「終わってない」んですよね。これからどうにでもなっていく、と言うか。ちなみに作者さんはカクヨム×魔法のiらんどコンテストにて「恋を知らぬまま死んでゆく」という作品で大賞を受賞されましたすごい人です。


 という感じで……わたしの感想いらないね? 余計なエッセンスになっているね?
 五人集まって全員方向性がバラバラっていうの面白いな〜って思ったし、それぞれの作風というか味が出ているのすごいなって思いました。
 装丁は春也さんという、超絶エモい写真や画像をおつくりになる方が担当されています。
 気になった方はぜひ、落山さんのツイッターで情報をキャッチしてみてください。そのうち試し読みも載るはず。

 今回のコミティア、いつもと会場が違いますので、間違えないように皆さまお気をつけていらしてください!


 2019.05.06