「いい加減起きんかァァァ!!!」

『……お客様ァ〜店内ではお静かにお願いしま〜す。寝ている店員のご迷惑となりますので』

「客じゃなくてェェ!!?つか、勤務中に居眠りとはどーゆー事だァ!!」

『居眠りじゃありません。そんな半端な睡眠は取りません。それが私のポリスィー』

「聞いてねェよ!発音良くしたって何とも思わないから!!…はァ、もうよい。それよりも早く精算してくれぬか」

『仕方が分かりませぬ』

「なんでコイツ店員やってんの?」


長谷川の頼みで今日一日コンビニを受け持つことになった万事屋。壊滅的な接客ながらもなんとか頑張っている。
銀時と新八はというと、裏で万引き犯を取り調べ中だ。と、取り調べが終わったのかその万引き犯と新八の姿が目に入る。


『首斬り?』

「なんでそんな極刑なんだよ」















万引き犯――高屋八兵衛は新八の友人らしい。
妙が持ってきただし巻き卵と称する得体の知れないものを挟んで弥生は知った。
高屋がああなってしまったのは自分のせいだと言う新八。
舞流独愚というタチの悪い暴走族に入ってしまっている彼を助ける為、姉の言葉を背に新八は早退して行った。


「…オイオイいいのかよ。最近のガキャなにするかわかったもんじゃねーぜ。どーなってもしらね〜よ、俺ァ」


と、銀時は他人事のように言うが


『どーなっても知らないんじゃなかったの…』

「フフ、なんだかんだ言って銀さんも新ちゃんが心配なのよ」

「ツンデレか?おい、ツンデレアルか?」

「うっせーてめー黙ってろや」


寺門通親衛隊のはっぴを身につけ、暴走族のような格好をした四人は河川敷を訪れる。
大勢の暴走族と対峙する新八へ声をかければ、驚きながらも嬉しそうな彼の姿があった。


「なんだテメーら」

「魔流血頭だかなんだか知らねェが、俺達の邪魔するってんならただじゃおかねーぞ」

「オイ、やっちまえ!!」


一斉に襲い掛かってくる舞流独愚の連中。だが五人の敵ではなく、次々と薙ぎ倒していく。そしてしばらく暴れていると、


「てめーら何してんだァァ!!なんでも暴力で解決すんなって言ったろーがァァ!少年漫画かお前ら!!なんだこりゃあ!何があった!?」

「総長、総長の頭も何があったんですか?」


リーゼントがズレた男がやって来た。どうやらこの男が舞流独愚の総長のようだ。
新八が用件を伝えれば、意外にもあっさりと許しが出た。
しかし簡単に物事が進むわけもなく、チームを抜ける儀式を行わなければならない。本来なら高屋がやるべき事なのだが神楽がボコってしまった為、銀時達が参加する。


「ルールは簡単だ。バイクであそこに見えるターミナルまでつっ走って、俺達より先に着けば高屋のチーム脱退を許可してやる。
武器の使用、相手チームへの妨害なんでもアリ。まァこんなカンジで一人が運転、一人が妨害工作にまわるのが妥当だな。
ちなみにてめーらは全員参加してもらうぞ。ウチも五人出すから」

「ちょっと待って下さい。妨害があるならその一人は不利じゃないですか?」

「そいつはお互い様といったところだ」


妖しく笑う総長に新八は冷汗を浮かべる。


「ど、どうします…?銀さん」

「あ〜?聞かなくったってもう決まってるじゃねーか」

「え?」

「頼むぜ、弥生」

『任せろ新八』

「うそォォォォ!!?」


驚いた事に弥生が一人を受け持った。物凄く不安ながらも二台のバイクを借り、それぞれ配置につく。


「弥生ちゃん…大丈夫かな?」

「大丈夫よ新ちゃん。彼女も侍なのよ。ちゃんと覚悟はできてるわ」

「いえ、僕が心配してるのは運転中に寝ちゃわないかって事です」


そんな心配をよそに開始を告げる銃声が響き渡った。
歓声の中、バイクは走り出したが一台だけ止まったままのバイクが。


『…動かないんですけど』

「お前さっき任せろとか言ってなかったか」

「オイ高屋ァ、てめーこの嬢ちゃんにバイクの動かし方教えてやれや」

「おめーの連れなんだろ?」


背中を蹴られ、転がってくる高屋。地面から顔を上げれば眠そうな目が見つめていた。


「…なんだよてめーら…関係ねーだろ。なんで俺の為に…」

『別にでっぱの為じゃないよ…』

「は」

『新八の為。新八がでっぱ助けたいって言うなら、私達は新八の手助けする。…そういうもんでしょ』


友達って。言いながらカチャカチャバイクをいじる弥生だが、動く気配が感じられない。


「………ハンドル」

『?』

「…ハンドル回せば動くんだよ」

『おお…』


言われた通り、弥生はハンドルを回す。が、回しすぎた。
まるでロケットのような発射ぶりだった。








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