神楽が犬を拾ってきた。いや、犬と言っていいのだろうか。
それにしてはあまりにも成長しすぎている。大きすぎる。
目の前で繰り広がる出来事をただ弥生は眺めていた。
銀時と新八がその犬の餌食になっている様を。


「あ、弥生起きたネ。弥生も銀ちゃん説得するアル!コイツ定春捨てて来い言うネ!」

「バッカおめー弥生は俺の味方だ。だってアイツ…」

「あ゙ぁァァァァ!!銀さァァん、弥生ちゃんがァァァ!!」

「家ん中で叫ぶなァァ!!うるせェんだよババアが文句言いに来ちまうだろォォォ!!?」

「オメーも充分うるさいネ」

「ていうか、こーしてるうちにも弥生ちゃんが定春の牙の餌食にィィィ!!」

「新八新八」


頭を抱える新八の肩を叩き、人差し指で見る方向を示す。
顔をそちらへ動かすとそこに血まみれの弥生の姿はなく、尾を左右へ振り弥生に擦り寄る定春が。


「えェェ!!?何!?なにが起こってるのォ!?」

「定春、弥生が気に入ったみたいネ」

「あいつムツゴロウ体質だから」

「は?」

「動物に好かれるタチなんだわ」


へぇ…と呟くと弥生を見る。
甘えるような声を出す定春を撫でることもせず、右往左往している。その行動はまるで定春を振り切ろうとしているような。


「…弥生ちゃん、動物ダメなんスか?」

「いや、かまうのがめんどうなだけだろ」


かまってくれとぐりぐり顔を弥生の背に押し付けてくる定春をそのままに弥生は神楽に提案を持ち出す。


『…神楽、散歩いかないの?』

「サンポ?」

『犬は散歩に出してやらないとストレスが溜まるんだって…』

「マジでか!私知らなかったヨ」

「なんか上手い事言って追い出そうとしてません?銀さん」

「そりゃそーだろうよ新八君。弥生にとって動物は睡眠の天敵だ」

「弥生も一緒に定春の散歩行くネ」

『神楽は定春の飼い主…』

「うん?」

『飼い主が誰かはっきりさせとくためにも神楽一人の方がいいよ…』

「えぇ〜嫌アル。皆で行った方がきっと定春も楽しいネ!」

『………』

「行くアル弥生〜」

『………………行く、』



弥生の言葉に顔を見合わせる銀時と新八。神楽の押しに負け、諦めてそう言ったのかと思いきや


『ぎんと新八が』

「「おいィィィィィ!!!」」


二人に押し付けるのだった。




















散歩後、銀時は神楽がちゃんと面倒を見るという条件で定春を飼うことに決めたと弥生に報告すれば、物凄く嫌な顔をした彼女。
今でも銀時はあの顔を忘れられない。
ちなみに新八はというと事故で入院した。
一体どんな散歩をしてきたのかと思いつつ、一つの欠伸をするとまた眠りにつくべく寝返る。
だが、帰ってきた神楽と定春によって夜まで起きる羽目になる弥生だった。










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