やや首をもたげた姿勢で、振り返りもせずルーシィは答えた。
「うん」
視線は手元の本に釘付けのまま。
ナツは苛立って、彼女の背後からそれを奪い取った。
「ちょ、何っ…」
「何じゃねぇよ。ちゃんとこっち見ろって」
淡褐色の瞳に自分が映る。それに少し安心して、ナツは息を吐いた。
「もっかい、やり直しな」
「も、もっかい、って」
本当は知っていた。ルーシィが本なんか読んでいないこと。もう何分間も、同じページで止まっていること。
やや強引な手段で振り向かせた彼女の顔はこれ以上ないくらいに赤い。それで隠し通せるとでも思っているのだろうか。
恥ずかしい気持ちはわかる。ナツも冷静とは言いがたい。
しかし、目を見て言いたい。そして、聞きたい。
もう一回。
「お前、オレのこと、好きだろ?」
さぁ、どんな顔して、答えてくれる?