ちっ――。
舌打ちの音を聞いてややあってから、それが自分の口から出たことに気付く。物言いたげな視線が下方から刺さったが、ガジルは顔を背けることでそれを避けた。
なんとなく、焦りのようなものを感じる。
なんでだ。ああ、リリーにも嫁さん探してやらねぇと。
「シャルルー!」
突然視界を割り込んできた青い猫。楽しそうに横切って行くそれを目で追って、ガジルはテーブルの上の黒猫に呟いた。
「お前は相手いねぇのか?」
「何のだ?」
「いや…」
何でこんな話。ガジルは自分の内面に毒づいて、深く息を吐き出した。