「あんたはなんでここに居るのよ?」
ギルドで別れたはずのナツが、ソファに座っている。
ルーシィは荷物をベッドの脇に置いて、きっ、と彼を睨んだ。
「疲れてんだから帰ってよ」
「怒ってる?」
「当たり前よ!毎回毎回、勝手にっ、」
「ごめんな」
「へ?」
声がすっぽ抜けた。ルーシィは狼狽えて後退する。
「な、なに…何か用だったの?」
ナツはルーシィにじっと視線を送って、諦めたように長く息を吐き出した。
「謝っただろ?」
「う?うん」
「…よく出来ました、は?」
躊躇いがちに、ナツが両手を広げる。何かに耐えるような、真っ赤な顔で。
「は…」
「また後で、って言ったじゃねえか」
「だ、そ、それは…っ!あんたもう子供じゃないでしょっ!」
「でもオレだってわかってたんだろ?」
「わかっ…てたけど!でもそうじゃなくてっ!」
じりじりと距離を取ろうとしたが、ナツはあっさりと歩み寄ってくる。
どん、と背がドアに当たった。
「そんなつもりじゃない、て?」
「そ、そうよ」
「いっつもそれだな。期待させるだけさせやがって」
「え」
それはルーシィのセリフのはずだ。期待させるのも振り回すのも、いつだってナツの方で。
思考も動きも止まった彼女に、ナツはむぅ、と口を尖らせた。
「ほら、よく出来ました、は?」
「で、出来るわけないでしょ。ちょ、ちょっと、も少し離れ、」
「出来ないんだな?じゃあ、ごめんなさい、だろ?」
はっきりと、ナツの顔に『勝った』と書いてあった。
思わず声を失ったルーシィに、逞しい腕が伸びてくる。
ジュビアのようにふらつきながら、ルーシィはこのまま抱き締められる自分を想像して。
そして、気付く。
――シャワー、浴びてない。
「い、嫌ぁああっ!」
「ぐもっ!?」
ルーシィの中の乙女が、ナツに強烈なアッパーをかました。