棒が一本あったとさ






「タウロス、ありがと!」
「MOォォオ!ルーシィさんとエルザさんの為ならいくらでMOー!」

滞りそうな家賃のために。
そろそろ仕事に行かなくてはならなくなったルーシィは、最強チームで廃墟と化した城に住み着くモンスターを狩りに来た。
主なモンスターは一つ目の、形のない奴らだった。でろでろとした泥のような体はそのままでは物理攻撃を無効化してしまう。通常なら、ナツが一気に燃やし尽くすか、グレイが凍らせてエルザとルーシィが破壊する、というパターンなのだが。

「なぁ…」
「絶対ダメ!!」

星霊を閉門したルーシィに、ナツが何かを言いかける。すぐに封じてやるとつまらなさそうに頬を膨らませた。
この狭い空間では、すぐに酸素が足りなくなってしまう。チームは、ナツを極力温存させる作戦を採ったのだ。
加えて、城はそれなりに歴史の深いもので、町はここを観光名所として町おこしをしたいらしい。それはつまり、決して壊してはならない、ということで。ルーシィは戦闘に参加しながらもナツの監視も怠ってはいなかった。

「それにしても数が多いな…」

エルザが玉座の間に足を踏み入れて言う。
そこにも壁やら天井やらにうじゃうじゃと黄色く濁った目が張り付いていて。
こちらを認識した固体がよくわからない緑色の液体を吐き出しながら同化した壁から出てこようとしていた。

「よっしゃー!」
「ダメって言ったでしょ!?」

壁に向かって駆け出したナツの服を掴む。ずるずると引きずられながらも家賃の二文字がルーシィを諦めさせない。

「くぬっ…」

ナツの手が壁に触れた、その時。
指先の壁が闇に沈んだ。

「うわっ!?」
「なっ!?」

闇はナツを、ナツを掴んだままのルーシィを吸い込むように引き付ける。

「どうし…!」
「おい!ルー…!」

二人と一匹の声は途中で聞こえなくなった。







モンスターイメージはFFシリーズプリン系。
い、イメージですよっ!あくまでっ!



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