ちょっと危ない仕事で、なんとか切り抜けて決着をつけて帰ってきたオレに、ルーシィが飛びついてきた。
「ナツ!」
「うわ!?」
「良かった…、あんただから大丈夫だとは思ったけど…」
温かくて柔らかいルーシィは、自分の体型がもたらすものなどお構いなしにオレに身体を押し付けてきた。
こうなってしまうと冷静でいられない。
自分よりも力の無いルーシィ相手に、オレの身体は完全に拘束される。
どうしたらいいんだ?
引き剥がすことは考え付かなかった。ただ狼狽えて周りを見ると、笑いながらオレらを見守っている仲間達が目に入る。
「ルーシィ…」
巻き付いた腕は細くて頼りない。金髪が小さく震えていると気付いたら、腕が勝手にルーシィの背中に回っていた。
「んぅ…」
途端、苦しげにルーシィが呻いた。
あ、加減忘れた、と思った瞬間、リサーナがにこにこと、
「もう、ナツってば、もっと優しくって言ったじゃない。私のときもそんな風に力任せにしてたよね」
ルーシィの喉がく、と鳴って、腕に伝わっていた呼吸が止まった。
確かに昔、そんなことを言われたような気がする。でもよ。
なぁ、リサーナ。今、言わなきゃならねぇことなのかよ?
オレを押し返す手は冷たかった。