「いつもと同じで良いっつってもなぁ。具体的に何するもんなんだ?」

ミラがハッピーを連れて行ったので、久しぶりにルーシィの部屋で二人きり。
しかも一緒に帰ってくるというかなり珍しい状況。
ナツはなんとなく落ち着かない気持ちでテーブルの向かいに座るルーシィに訊ねた。

「そ、そうねぇ…。てかあんた、恋が何なのかわかってんの?」
「んー…?」

わかってるようなわかってないような。説明は出来ない。
首を傾げるとルーシィが溜息を吐いて、指を突きつけてきた。

「いい?恋っていうのはねぇ…相手のことが気になって、目で追っちゃったり、側に居たいと思ったりするものなの!」
「ふぅん?」

気になる。目で追う。側に居たい。
ナツは口の中で反芻してみる。恋。

「で、恋人になるっていうのはお互いがそういう気持ちだから、見つめ合ったり手をつないだり、一緒にどこかに行ったりするもんなの!」

なんかのスイッチでも入ったのか、頬を染めて陶酔したようにくねくねするルーシィ。

「気持ち悪いぞ、お前」
「失礼ね!」
「見つめ合って手をつなげばいいのか?」

目の前でくるくると踊っていた人差し指を捕まえて手を開かせる。

「う、あ、ちょ」

身を乗り出してルーシィの目を覗き込むと、澄んだこげ茶の瞳に自分が映るのが見えた。

「目ぇでけぇな」

ぴく、とルーシィの手が動いた。
ちらり、と目をやって指を絡ませる。
ルーシィの手は華奢で小さい。ああ、女なんだもんな。
簡単に手折れそうなそれを親指で擦りながら、瞳に視線を戻す。
何かに耐えるように、ルーシィが唇を噛んだ。

「お前顔赤いぞ、熱でもあんのか?」
「な、ないわよ!てか近い!」
「んで、他には何すんだ?」
「え…そ、そうね。と、とりあえず放して」

放して、という言葉に何故だか反発を覚えて、力を込め直してみる。

「な、ナツ?」

ルーシィが手を見やる。自分の行動に理由がつかず慌てて離した。
一瞬怪訝な顔をしたものの、気のせいだと思ったらしい。

「ほ、他は…き、キスしたり?」
「キ…」

ルーシィの言葉に流石に固まる。

「や、やんないでよ!?」
「あ、当たり前だろ!」

ナツは今更ながら、ミラが言った言葉を理解した。
ルーシィを食べる。
そういうことか。
ナツも一応男である。
色恋の機微は知らなくても、マカオやワカバといった悪乗りする大人達にそういう知識は教え込まれていた。
恋愛にもそれらにも元々興味が薄いゆえに、結びつけることが出来なかったが。
赤い顔を俯けて紅茶を啜るルーシィの、いつもと同じように開いた白い胸元を見ながら。
なんだかんだと理由を付けて泊まっていくつもりだったがやっぱり今日は大人しく帰ろうと思った。






carpio設定のナツはこんな感じ。
期待してくださっていた方、すみません…



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